順天中学校・高等学校
片倉 敦教育支援センター長

 順天中学校・高等学校は、「探究から研究へ、そして未来を創る人になる」というスローガンを掲げ、探究学習に力を注いできた。特に高校Sクラス(理数選抜類型)では、より高度な理数探究の時間が設けられ、学会発表や科学コンテストにも積極的に参加している。

 最近では、ミドリムシを使って水質汚染を解消する研究で、国内外のさまざまな賞を受賞している。

「ミドリムシを使った探究授業は、東大から研究者を招いて行っています。ミドリムシは食用にできるほど無害な上、大腸菌を駆逐するなど、環境分野で利用できる特異な性質を持っています。今も生徒たちは、日焼け止めに使われるベンゾフェノンという化学成分が河川へ流入していないかどうか、ミドリムシを使って測定する調査を行っています」

 そう話すのは、同校の片倉敦教育支援センター長だ。

 探究のテーマを決めるのは生徒たちだという。「中には販売できるレベルのゲームソフトの開発をするような生徒もいますが、われわれとしては、ミドリムシに限らず、社会貢献につながるテーマが望ましいと考えています」(片倉センター長)。

北里研究所と合致した
社会貢献を是とする理念

 順天中学校・高等学校は、2026年度に北里研究所の附属校となることが決まっている。全く縁のなかった二つの法人が合併することになった最大の決め手は、こうした社会貢献を是とする教育理念が共通していたことだ。「北里研究所の『いのちを尊(たっと)び、生命の真理を探究し、実学の精神をもって社会に貢献する』という理念は、まさに本校建学の精神『順天求合(自然の摂理にしたがって真理を探求する)』に通じるものです。そして大学附属ではなく、『研究所附属』というユニークな形になることも、これまで探究の授業に注力してきた本校らしい選択だと思います」と語る片倉センター長。

 北里大学は、薬学部、医学部、獣医学部、海洋生命科学部、看護学部、理学部、医療衛生学部、未来工学部、健康科学部の9学部がある理系総合大学だ。北里大への内部進学の道が開けているということは、理系進学を考える生徒や保護者にとって大きな魅力だろう。

「中・高・大の一貫教育には、いろいろな可能性があると思っています。北里大への進学を希望する場合、一部の単位を高校時代に先取りするAP(Advanced Placement)プログラムを用意する予定です。先取りした分、卒業を1年早めたり、海外留学や研究活動に充てることができると思います。もちろん、100%の生徒を北里大に、とは考えていません。文系の生徒や、国公立大など他大学を志望する生徒への受験指導に関しては、これまで同様に行っていきます」(片倉センター長)

 1834年の創立以来、時代に応じて変化を続けてきた同校の新たな一歩に期待したい。

高校Sクラスの理数探究では、ミドリムシを使った発展研究で、つくばサイエンスエッジの環境分野の最高賞であるGLQ賞をはじめ、多くの賞を受賞
●問い合わせ先
順天中学校・高等学校
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