女子聖学院中学校高等学校
塚原隆行教頭 広報室長

 女子聖学院は2024年度から「キリスト教教育」「グローバルアーツ教育」「エクスペリエンシャルラーニング」の三つを柱として、新たに教育プログラムを見直した。

 ベースとなるのは伝統のキリスト教教育。毎朝の礼拝で聖書に触れ、建学の精神である「神を仰ぎ 人に仕(つこ)う」生き方について学ぶ。また、社会福祉施設に寄付する介助タオルやおむつ作りを年間行事として実施する。

「他にも、自由参加でボランティア活動を行っており、例年非常に希望者が多いです」と語るのは塚原隆行教頭だ。

 グローバルアーツ教育とは課題に対する“創造的な解決策”を探究するための教養と技術を養う教育。具体的にはインプット→インテイク→アウトプットという「学びの3ステップ」を意識して、教科教育やその他の独自プログラムを展開する。

 そして、エクスペリエンシャルラーニングとは、部活動や学校行事などを通じ、他者との交わりの中で自らを活かし、成長を促すという学びの形。女子聖学院には例年大いに盛り上がる運動会など、生徒主体で催される行事が多数用意されている。1学年120人前後と比較的少人数のため、生徒一人一人が自分の得意なことを活かせる場面も多く、時と場合によってリーダーが代わる「シェアド・リーダーシップ」の環境が整う。加えて、総合探究学習の中で、立教大学経営学部の舘野泰一准教授を招いてシェアド・リーダーシップの考え方に基づくリーダーシップ教育を実施。社会に出てからチームとして課題に取り組む力が求められることを意識し、全員がそれぞれリーダーシップを発揮する重要性を学ぶ。

 社会に出てからを意識した動きは、近年、理系の進路に進む生徒のサポートに力を注ぐ同校の方針からも見て取れる。24年の大学入試実績では卒業生全体の5分の1が理系の進路を選択。その中には聖マリアンナ医科大学の医学部や、順天堂大学の薬学部なども含まれている。

聖学院と合同プロジェクトで
社会課題について考える

 隣接する男子校の聖学院中高と連携して行われる「聖学院SDGsプロジェクト」も特徴的だ。生徒それぞれが課題を発案し、社会貢献につながるようなPBL型学習で、両校の生徒がお互いの学校を行き来しながら活動する。

「現在のSDGsプロジェクトの前は『パラスポーツ応援プロジェクト』という活動をしていました。参加者の一人は、プロジェクトを通じて『今の社会に障がいのある方が気軽にスポーツを行える環境が少ない』という問題意識を抱き、そこから立教大学のスポーツウエルネス学部に進学。その後、JOC(日本オリンピック委員会)に就職しています。高校時代の経験・気付きをその後の進路につなげた卒業生がいるというのは、とてもうれしく頼もしく思っています」(塚原教頭)

リーダーシップ教育では、立教大学経営学部舘野准教授を招いてワークショップを実施。10代の心が柔らかいときに新しい時代のリーダー像を学ぶ
●問い合わせ先
女子聖学院中学校高等学校
〒114-8574 東京都北区中里3-12-2
TEL:03-3917-2277
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