「本校の進学実績の過半数は総合型選抜と学校推薦型選抜です」と語るのは、広報部長の倉田豊子教諭。聖徳学園の生徒の強みは型にはまらない課題解決力とプレゼン力であり、難関大学を含む総合型選抜入試に合格しているという。
その育成は課題解決型学習「STEAM」から始まる。中1ではSDGsの目標についてグループ研究を行い、iPadを活用してクレイアニメーション動画で解決プランを表現する。シナリオ制作は国語、粘土造形は美術、動画制作アプリは情報の授業で学ぶ教科横断型のプログラムを通じ、「勉強は受験のためだけではなく、課題解決に向き合い表現するためにある」ことを体験で理解する。これを皮切りに、企業と連携した製品企画や地域課題の解決など、多様なテーマで創造性豊かなアウトプットに中高一貫で挑戦する。さらに各教科で伝える技術を磨く機会を設けるほか、高校の情報の授業ではデータサイエンスについても学び、主観をベースとしたロジカルな課題抽出や実証のすべをデータ収集・分析から磨く。
高2の「国際協力プロジェクト」は、こうした学びの集大成だ。途上国についてデータを活用して社会課題を抽出。その解決策を国際NPOなど海外協力のプロにもアドバイスしてもらい、アフリカや東南アジアに飛んで(希望制)、アイデアの実践も行う。「正解のない課題に答えを出すノウハウと体験を積み上げ、社会で能動的にアクションを起こせる人間育成を行っています」(倉田教諭)。
生徒の自主性を育て
個性を尊重する伝統
生徒の確かなビジョンとプレゼン力、豊富な社会活動の体験は多くの大学で歓迎され、総合型選抜で合格を得る。2024年春、独自のeスポーツ研究で筑波大学の総合型選抜に生徒が合格した。自主的な論文制作やボランティア活動で活躍する生徒も多く、その自主性こそ聖徳学園の精神だ、と倉田教諭は言う。「1927年の創立以来、聖徳学園は画一主義を排し、生徒の個性を尊重する教育を展開してきました。その精神は脈々と受け継がれていることを一教員としても感じます」。
生徒だけで運営する学校見学会や国際関係の識者に生徒らが講演を依頼し、運営も行う「グローバルデイ」の開催など、生徒たちが個性と創意工夫を発揮する機会は豊富にある。また、ボランティアやインターンシップ、地域創生のアイデアコンペなどの募集情報を発信し、社会参加の機会提供を行っている。「最近ではWeb3.0※社会に向けた新たな教育に挑戦している教員が、その分野に興味のある生徒を大阪まで連れてデジタルアートのイベントに参加しました。生徒の興味に対し、教員も楽しみながらバックアップし、生徒の『強み』を一緒につくっていきたい。創造性は楽しむことから生まれますから」と倉田教諭はほほえんだ。
※Web3.0:ブロックチェーン技術を活用し、利用者がデータとサービスを分散的に管理・運用する次世代インターネット