捜真女学校 中学部・高等学部
島名恭子校長

 捜真女学校中学部・高等学部の校名は「真理を捜し求める」ことを意味する。

「中学入学時には、将来の夢を早くから具体的に持っている子も、何を目指していいか分からない子もいます。本校の6年間で真理を探究し、『私にはこれができる、この力で世の中に貢献したい』という意志や、そこまではいかなくても『これができるようになって、社会で役に立ちたい』という希望を育てたいと考えています」と島名恭子校長は話す。そんな同校が大切にしているのは「ことば」だ。自分とは何か、他者とは何か、人生とは何かを「ことば」で思考し、「ことば」で表現することで、「自分」を見つけることができる。

10年後の自分を考えていく
「捜真Vプロジェクト」

 同校では、独自の「捜真Vプロジェクト」(VはValue=価値)を設定している。生徒は6年かけて「10年後の自分」がイメージできるような学びや体験をするとともに、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、文章力などのスキルを身に付けていく。

 中1では自分の価値を知り、中2では他者の価値を知る。具体的な学びとして、炊き出しボランティアなどに参加する。中3ではキャリア教育の一環で興味のある職業に就いている社会人に自分でアポイントを取ってインタビューし、「職業レポート」にまとめる。「ティーン雑誌の編集長やフィギュアの型師など、生徒は果敢にアポ取りにチャレンジしています。また、その職業のいいところだけでなく、苦労しているところや課題なども聴き出して、職業を多角的に捉えています」と島名校長。

 高1ではグループで、高2では個人で、それぞれ市民の視点で社会の課題を発見し、解決策を提案する。高1が取り組むのは課題発見動画の作成。あるグループは「学校の授業の適切な時間」について考察し、新たな時間割を提案するまでを動画にまとめたところ、外部のコンテストでも高評価を得て入賞した。

「捜真Vプロジェクト」や本物に触れる体験、学校行事や部活動などを経て、高3は具体的な進路を決める。入学時は目立たなかった生徒が、「世界の紛争を伝えて世の中を平和にしたい」とジャーナリストを目指すようになり、上智大の新聞学科に進学した。ある生徒はけがをして病院に通えなくなってしまった祖母の経験から、訪問医療のシステムを整えたいという具体的な目標を持って卒業した。外国語学部に進学したものの、ポーランドの大学に入り直した卒業生もいる。現在はポーランドで起業し、ウクライナの女性を支援しているという。

「本校では、進学について常に、『なすべきことができるところに行きなさい』と伝えています。教員はチーム制で受験生一人一人を手厚くサポートしています。最後まで生徒の可能性を広げるのが学校の役割だと考えています」(島名校長)

高2が「捜真Vプロジェクト」の集大成として行う「ポスターセッション」。同級生や後輩、高大連携をしている大学の教員から質問や講評を受ける
●問い合わせ先
捜真女学校 中学部・高等学部
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