全授業の専任教員率が約8割という同校では、中高とも1学年6クラスに、担任の他、学年主任を含めて5人の専任教員が付く。そして基本的に高校卒業まで持ち上がりで、6年間じっくりと生徒たちに向き合うのである。この面倒見の良さが、同校の自主性を尊重する教育方針を支えているのだ。
「中高で教員を分けることにもメリットはありますが、当校では生徒・教員・保護者の継続的なつながりを大事にしたいと考えています。普段から教員が生徒一人一人をよく見ていて、個性や考え方、興味や関心まで知っているわけですから、生徒の挑戦も失敗も自主性に任せながら見守ることができるのです。面倒見が良いというのは決して手取り足取りではなく、 “目を離さずに見守る”という教育です」と平野豊校長は語る。
自主性を尊重する教育は生徒たちの自信や個性、達成感を引き出し、学力の伸長と人間的な成長につながっていくという。
中高6年間の学校生活は3期に分けて、基本的な生活習慣と学力の心身両面の指導に徹底して取り組み、全員を志望大学に進学させるために無駄のないカリキュラムを組んでいる。
中2までは学習習慣を身に付けていく「基礎学力徹底期」。中3・高1は「進路決定・学力伸長発展期」となり選抜クラスも設置。高2からは「総仕上げ・進路達成期」として、志望大学・学部の絞り込みをして、現役合格を目指す。また、基礎をしっかり習得させることも教育の柱として掲げ、中学・高校共に〈補習・講習・再テスト〉という形で、放課後に学習のフォローを行っている。
高輪生の個性が光る
行事・部活・体験学習
見守る教育が生きるのは教室の授業だけではない。「生徒たちが自信を持ってやりたいことにチャレンジできる。失敗しても大丈夫だと思える。そういう環境でありたい」と平野校長が語るように、生徒たちは学校行事や部活動、体験学習などにもやりたいことを見つけて、積極的に取り組んでいる。
体験学習では海外ニーズが非常に高く、これまでの短期・長期(8カ月間)の海外語学研修に加えて、2024年度からニュージーランドで2カ月間のターム留学も始まる。
23年から中高合同開催に戻った体育祭では、生徒が中心になって種目や構成を考えていく。部活動は11の運動部、16の文化部、10の同好会があり、中学1年生の9割が加入済み。旅行・鉄道研究部は部員約100人という人気ぶりだが、学校PR部も大活躍だ。3年前に生徒たちが学校説明会を開催するために創設した部だったが、入部希望者が増え、24年から委員会に切り替えたという。
「高輪が好きで発信したいという気持ち、自分から手を挙げる行動力をうれしく思います」(平野校長)。穏やかに見守る教育が生徒の成長を後押しする。