東京家政大学附属女子中学校・高等学校
賞雅技子(たかまさあやこ)中学校校長

 東京家政大学附属女子中学校・高等学校では、生徒の進学先に対するニーズの多様化に対応し、2025年度から高校に新コース制を導入する。中高一貫生は中学の早い段階からキャリア教育を受けているため、より自分に合った進路を目指す傾向が強く、国公立大や難関私大への合格者も増えている。一方で高入生は、東京家政大への進学希望者が多いという。

「これらを踏まえ、生徒が海外大学も含めて希望する進路を実現できるように、高校にコース制を導入します」と話すのは、中高統括責任者を兼務する大澤力高等学校校長だ。大澤校長は東京家政大(以下、大学)の名誉教授でもあり、大学との連携を推進。附属校としての中高の強みを一層際立たせることに一役買っている。

 その高大連携の一つに大学の「模擬授業」がある。高1・2生を対象に行い、心理学や栄養学、児童学、服飾など全12講座を開講、例年、延べ500人以上が参加する。

中学でも進む大学との連携
多様な語学研修

 大学との連携は中学でも進んでいる。23年度は大学側からの提案で、大学の学びを知るための講座が受講できる「家政大体験月間」が1カ月間設けられ、中3生も参加した。

「中3という早い時期に体験できたことは、進路を考える上でも大変良かったと思います」と語るのは賞雅技子(たかまさあやこ)中学校校長。

 美術科では中学生が授業で制作した陶芸作品を大学の造形美術の研究室に持ち込み、窯で焼いてもらう取り組みを行った。生徒は陶芸という授業を通して、ただ創るのではなく、「誰のために、どんなイメージで、どんな工夫をして創るのか」というコンセプトを明確にした上で制作に取り組んだ。中学生の視点の新鮮さとイマジネーションの豊かさが作品となり、秋の緑苑祭展示の際、参加者の目を引いた。「これは、私たちが大切にしている『全人教育』の一例です。机に向かって行う教科の学習だけでなく、探究学習や全員参加の部活動などさまざまな活動に参加し、体験することで豊かな言葉を身に付けてほしい。考えを自分の言葉で伝える力を育ててほしい。何よりも中高の6年間で自分の長所・得意を伸ばすことは、とても価値があることです。これからはさらにAIが活躍する世の中になります。そのような時代に必要な能力は、多くの人と協働したり、創造性やアイデアを発信したりできることではないかと思います」。

 また、「中3生のためにターム留学先としてニュージーランドの中高一貫校Glendowie Collegeと提携しており、本校独自の海外大学との連携も進めています。中3の秋に説明会があり、ニュージーランドの名門校であるMASSEY UNIVERSITYでの語学研修とホームステイに参加できます」(賞雅校長)。25年春、“家政”は変わる。新しい制服に身を包んだ生徒たちの笑顔が楽しみだ。

ニュージーランド・マッセイ大学での夏期語学研修の1コマ。2023年に開いた同研修説明会には80人の希望者が集まり、学校側は関心の高さに驚いたという
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