東京女学館 中学校・高等学校
クリスタル・ブルネリ
国際副教頭

 開校当初から日本史と国語以外は英語で授業が行われていたという東京女学館中学校・高等学校。2004年に開設された国際学級(以下、国際)は、同校のシンボル的な存在だ。

 1学年に1クラスで、5クラスある一般学級とは異なるカリキュラムで学ぶ。海外からの帰国生と英語習得に意欲がある一般生で編成され、6年間クラス替えはない。北米の学校のスタイルを採用した同校独自のランゲージアーツで英語を母語のように使いこなす力を身に付ける。また、中3ではシェークスピアの『ロミオとジュリエット』を題材とした英語劇に全員が参加。高1、高2では模擬国連をカリキュラムに取り入れるなど、行事を通じてお互いが支え合い、積極的に自分の役割を果たすマインドを育てるインクルーシブリーダーシップ教育も行っている。

国際学級も一般学級も
大きく成長する海外研修

「こうした国際での学びの蓄積を一般にも反映させ、学校全体として国際社会で活躍する女性を育成しています。そして現在、本校では26年度に向けて、国際を2クラスに増やすための準備を進めています」と広報室長の坂田充教諭は話す。

 国際は基本的に文系のカリキュラムであったため、理系の大学を受けたい生徒は一般に移るか、個人的に理系科目を勉強するかして受験に臨んでいた。

「国際の生徒は、『英語を使って何ができるか』と考えています。世の中が文系・理系の境目が曖昧になっている今、2クラス編成になれば、高校で文系と理系、海外大学志望と国内大学志望など、フレキシブルなクラス編成が可能になり、生徒のニーズに細やかに対応できるようになります」とクリスタル・ブルネリ国際副教頭もうなずく。

 現在、国際では美術の授業を英語で行っているが、2クラス化に向けて、さらに数学や理科など理系科目でも英語による授業を取り入れていくという。

 このところ一般のニーズが高まっているのが、高1の3学期から実施されるオーストラリアでのターム留学。

「1年留学は腰が引けてしまうけれど、3カ月なら体験したいという生徒に人気があります。帰国後に長期留学を目指す生徒も少なくありません。やり残したことがある方が、その後のモチベーションが高くなるようです」とブルネリ国際副教頭。

 実際、海外大学への進学は、国際からだけでなく、一般からも例年1~2人ずつ出ている。

「23年度卒業生で、米国トップ20に入る大学に進学した生徒がいます。成績優秀で学費を全額奨学金で賄えるようです。その生徒は在校中からイラン人女性の人権問題に取り組み、調べた情報や意見をSNSで発信したり、本校に在日イラン人女性を招いて交流したりと行動していました。今後もこのような生徒を国際、そして一般からも輩出することを期待しています」と坂田教諭は語る。

2023年9月にオーストラリア・タスマニア州にある提携校・ファーン校から訪問団が来校。授業体験やクラブ見学などで大いに交流した
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