人工芝のグリーンが鮮やかな広いグラウンドに、モダンなコンクリート打ちっ放しの校舎。東京都市大付属は閑静な住宅街の一角に位置する。
校舎内で特徴的なのは廊下の広さだ。あちこちに机や椅子が置かれて「スタディラウンジ」と名付けられ、生徒たちは自習するなど思い思いの時間を過ごせる。教員とのコミュニケーションも取りやすく、時にはここでミニ授業が始まることも。
合計6室もある生物・化学・物理の実験室も同校の“顔”だ。
「本校は、中学で理科の授業とは別に科学実験の授業を週1回程度行うなど、体験を通じた学びを重視しています。実験好き、理科好きという理由で本校を志望してくれる生徒は多いですね」と言うのは田中望教諭だ。
実際、生徒の理系:文系の割合は6:4で理系が多い。2024年の大学入試では同校初の東大理Ⅲの合格者が出た。理Ⅲ含め東大合格者は6人、京大などその他国公立大に現役で70人が合格。難関私大や医学部の合格者も多く、進学校らしい華々しい実績といえるだろう。
クラス編成は、中1から「類別クラス」となっている。東大・京大・国公立大医学部などへの現役合格を目指す「Ⅱ類」、難関国公立大・難関私大への現役合格を目指す「Ⅰ類」の二つに分かれ、それぞれの深度で学習を進める。進級時の成績で転類もあるため、日々の積み重ねが重要になる。学力向上を支えるサポートも充実している。例えば、限られた時間を自分で管理するため、ACTIO(アクティオ)手帳を活用。初めのうちは担任が記入の仕方をアドバイスするが、次第に生徒たちは自分で学習の計画を効率的に立てられるようになっていく。その他、基礎補習、応用講座などを用意、脱落者をつくらず、学びたい生徒をさらにバックアップする体制だ。
キャリア・スタディで
働くとは何かを考えさせる
キャリア・スタディにも力を入れている。
「中3対象のキャリア・スタディは、1年近くにわたってさまざまな職種の人の話を聞いたり、実際に企業で研修させてもらったりして、生徒たちに『働くとは何か』を考えてもらいます。研修後には、自分たちが学んだことをプレゼンする発表会も大々的に行います。社会人OBの方々が、後輩のためならと講師や企業研修のコーディネーターを快く引き受けてくださるおかげで、実現しているプログラムです」(田中教諭)
もともと“トシコー”生は先輩後輩の仲が良く、愛校心の強い卒業生も多い。「運動部のコーチもOBが多いですし、卒業しても何かと母校に関わってくれていますね」(田中教諭)。
先輩から受けた教えを生かし、卒業してからは自分たちがさまざまな形で後輩たちを導く。東京都市大付属では、長年にわたって先輩・後輩の絆のバトンが受け継がれている。