中学校創立20周年に当たる2025年は、農大一中にとって変化の年になる。まず、高校入試を廃止して完全中高一貫校へと生まれ変わる。それに合わせて中学の募集定員を従来の175人から200人に増枠。新たに2月1日の午前入試が追加される。新校舎も建設中で、23年秋に第1期工事が終了。第2期工事が始まっており、26年に竣工予定だ。第1期工事で完成した校舎(新2号館)は、1階には自習室とラーニングコモンズが約300席設けられている。すでに生徒たちに大いに活用され、共に学び、時には教え合う姿も見られるといい、同校がスローガンとする“共創”を体現する空間になっている。建設中の新3号館は理科棟で、理科の実験室や研究室などが入る予定だ。
ハード面の拡充でより一層人気が高まりそうな農大一中だが、もちろん「知耕実学」の理念に基づいて編成された教育プログラムも魅力だ。大前提として、同校ではリベラルアーツの習得に重きを置く。その狙いについて、幸田諭昭校長は「先行きの見えづらい今のような時代だからこそ、あらゆる知識を習得し、大きな器で大きく育ってもらいたい。ですから、本校では学習内容を限定するコースなどはあえて設けていません」と話す。
授業では“本物”に触れること(実学)を重視し、フィールドワークや実習の機会を増やしている。併設大の高度な研究施設で実験を行うほか、米や味噌造りなど食に関わる学びを多く取り入れているのも特徴的だ。生徒たちは中1の4月に行われる富士五湖での宿泊研修の段階から、富士山周辺について調べ学習をし、現地で洞窟探検などをして、学びを深めるという知耕実学の体験を積み重ねていく。
知的好奇心が刺激される
多彩な内容の一中一高ゼミ
放課後や長期休暇には自由参加型の「一中一高ゼミ」が開催される。講座は年間80講座以上あり、内容はダイドードリンコと連携した「SDGsを考える」やOB講師による「建築模型講座」「数学を目で見よう」など多種多彩。幸田校長は「生徒の興味・関心の芽を育てるべく内容を作り込んでおり、私の目から見ても面白いゼミばかり。先生だけでなく、生徒発案のゼミや外部と連携したもの、卒業生が講師を務めるものもあり、本校の教育活動の充実ぶりは他に類を見ないレベルだと自信を持って言えます」と胸を張る。
最難関大合格を目指す「Tゼミ」や最難関大入試と同レベルの校内模試「D模試」を実施するなど、大学受験に向けたサポートも手厚い。24年の合格実績は主要国公立大(東大1人、京大2人、東工大3人などを含む)や難関私大合格者が前年比で大幅に増加。特に、早慶合格者が前年比で倍増し、医学部合格者も30人を超えるなど健闘が光った。盤石のサポート体制の下、今後もより一層の飛躍を遂げていくことは間違いないだろう。
東京農業大学第一高等学校中等部
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