「清く 直(なお)く 明るく」の校訓を大切に受け継ぎ、認知型「学力」と非認知型「智力」を兼ね備えた女性を育成する中村中学校・高等学校。「智力」を育むための柱として、近年は特に国際理解教育に注力する。
例えば中2では、地元・深川の歴史や文化を紹介する英文を自分たちで作り、実際に現地を歩きながら、初めて会う学校外のネイティブスピーカーに英語で街の魅力を伝える。
「ネイティブから『この表現の方が分かりやすい』などとアドバイスを受けられ、生きた英語を身に付ける経験が楽しいようです。これをきっかけに『将来は英語を使う仕事に就きたい』と考えるようになる生徒も多いです」と江藤健教頭は語る。
そして中2、中3時には希望制で米国・デンバーでの11日間の海外サマースクールを実施。さらに高1、高2の希望者は、夏休みにカンボジアの小学校で授業ボランティアも体験する。
「子どもたちが青空教室のような場所で授業を受けている様子も目の当たりにします。発展途上の国で、人々がどんな生活を送り、どのような思いを抱いているかを感じ、SDGsと向き合ってほしいと思っています」と江藤教頭はその意義を語る。
高校はリベラルアーツ型の「先進コース」、PBL(問題解決)型学習に取り組む「探究コース」の他、3カ月~1年の留学が必須で、ネイティブ教員による授業を多く設けた「国際コース」の計3コースを展開している。
国際コースでの留学を経験した生徒たちについて江藤教頭は「最初は現地校の授業で付いていくのに必死だった生徒も、友達をつくって教えてもらったり、先生に質問したりと自ら行動し、自分の意見をはっきり言えるようになります」とその成長を喜ぶ。
留学しただけで終わらないよう、生徒たちは帰国後に現地でのフィールドワークを基に英語で論文を執筆。「ジェンダー」「住み続けられるまちづくり」など、それぞれが選んだテーマで考えをまとめる。この経験が奏功し、学校推薦や総合型選抜の入試に挑む生徒もいる。これまでに東京大学や国際基督(キリスト)教大学といった難関大学の合格者も誕生している。
「中村に入って、先輩
みたいになりたい」
少人数ということもあり、生徒と教員の距離が近く、アットホームな雰囲気も魅力の中村。「生徒たちは人懐っこく、すくすくと育っています」と江藤教頭はほほ笑む。
学校説明会では生徒が保護者や受験生を案内するが、一人一人の生徒の明るさや優しさに「中村に入って、先輩みたいになりたい」と目を輝かせる受験生も多い。そうして入学した後輩たちも周囲の人に優しく接する、という校風が自然と受け継がれてきた。緑が一面に広がる清澄公園に面し、開放的で明るい学校で、社会で活躍できる女性へと生徒たちは伸びやかに成長していく。