創立者・成瀬仁蔵が掲げた「自学自動」の精神、「自ら考え、自ら学び、自ら行動する」の教育目標は附属中学校においても深く浸透し、授業はもとより、校内のさまざまな活動に反映されている。
自治活動はその好例だ。同校は学校教育において、自治活動を取り入れた最初の学校ともいわれる。学校生活の運営に、生徒が主体となって取り組み、生徒自らが学校をつくり上げているのだ。
「キャリア教育」にも強く力を入れている。中3時では、弁護士、医師、アナウンサーなどさまざまな分野で活躍する卒業生を招き、10~20人ほどのグループに分かれて話を聞いて、ディスカッションを通して将来を考えるキャリア教室が開催される。
「卒業生は中学・高校時代にここで何を学び、どういうきっかけで今の職業を選んでいったかを後輩たちに語り掛けてくれます。本校では、琴線に触れる出合いの場をできる限りたくさん提供し、生徒おのおのが進路への興味や関心を高め、選択肢を広げていってほしいと考えます」
そう語るのは國澤恒久教頭だ。
新たな出合いの場として取り組んでいるのが、2023年からスタートした技術・家庭科における「情報」の新カリキュラムだ。女子校として初めてNPO法人みんなのコードと連携協定を締結、生徒たちはプログラミングや生成AIの基本的な仕組みと利活用を学んでいる。例えば中3の授業では、生徒は「球技会のスローガン」を生成AIを使って作成。欲しい答えを導き出すためには、条件の整理や指示の工夫が必要なことを学んでいく。その上で、社会科の授業では、生成AIとのディベートを活用して、社会福祉についての自分の意見を深めた。
情報を取り入れ
ジェンダーギャップを解消
「デジタル人材不足という社会課題にはジェンダーギャップが内在しており、それは教育現場から続いています。情報分野の技術は生活の中に溢れています。それを未知ではなく既知の世界にすることで、ただ消費する側から生み出す側へ、生徒の将来の可能性と選択の幅を広げたい。ジェンダーギャップ解消は、女子校こそ取り組む意義が大きい」と國澤教頭は語る。
同校は時間的にゆとりのある中高一貫教育、さらに多くの生徒が日本女子大学へ進学するという環境の中で、答えのない問いに自分で向き合い、試行錯誤する過程を楽しむ学びを大切にしている。また、「私」を語るスピーチをはじめ、全生徒の作品掲示などを通し、一人一人の才能を掘り起こす教育を追究している。「2割強の生徒が他大学へ進学しますが、その半数以上は総合型・推薦型選抜で合格しています。本校の『自学自動』の精神の下、生徒たちが育んだ豊かな『私』と、それを表現する力が、多くの大学で評価されていると頼もしく思っています」(國澤教頭)。
日本女子大学附属中学校・高等学校
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