広尾学園小石川は、文京区の都営三田線千石駅から近く、近隣には六義園や東洋文庫ミュージアムがある閑静な文教地区に立地する。広尾学園中学校・高等学校(以下、広尾学園)と教育連携し、「自律と共生」を教育理念に、高いコミュニケーション能力と柔軟で寛容な心を持って課題を解決できる力の育成を目指している。
教育内容は広尾学園の本科コース、インターナショナルコースのカリキュラムをそのまま導入。先進的な取り組みは、同校に進学校としての大きな成長をもたらしている。
例えば、2021年の共学化の年に高校受験で同校に入学し、今春卒業した1期生の大学合格実績は、早慶上理28人(22年度は1人)、GMARCH70人(22年度1人)、国公立大9人(22年度1人)と前年度と比して目を見張るものがあった。
「この実績は、生徒が目標として定めた進路に向けて努力し続け、果敢にチャレンジしてくれた結果です。よくいわれることですが、受験は団体戦。1人ではひるんでしまう壁も、仲間となら励まし合い、乗り越えられる。ですから、仲間に対しては『尊敬』と『感謝』が大切だと、折に触れて生徒に話しています」と、松尾廣茂校長は語る。
また、日頃から魅力ある授業を提供している教員の努力も確実に生徒に伝わっている。象徴的なのは「夏期講習」。受験に特化した講座、授業の復習となる講座、教科を教養として深める講座では「評論を読むための現代思想」「絵画とクラシック音楽でたどる世界の歴史」など、ネーミングからも教員の熱い思いが見て取れる。
他に英検やチャレンジ講座、アート体験など、130に及ぶ講座を設け、外部の力も借りて、総合的な能力育成を目指す。
周囲の協力を得られるような
探究力と人間力を鍛える
もう一つ、生徒の成長スイッチを入れるきっかけとなっているのが「キャリア教育」の一環で、中1から設定されている「スーパーアカデミア」。広尾学園との共催で、24年度も、世界的に知られる数学者である飯高茂博士の数学講義や、中国古代史の権威・鶴間和幸博士による「秦の始皇帝とキングダムの世界」、最新XR(クロスリアリティ)技術で恐竜をよみがえらせる芝原暁彦博士の講義など、各分野の第一線で活躍中の約30人の識者による興味深い講座がずらりと並ぶ。
「今、世の中にある便利なモノやシステムは、誰かの『あったらいいな』という思いがまずあり、失敗しても諦めずに継続した研究と、多くの人の協力によって実現しました。本校の生徒も先人のように、研究者の姿勢に学び、周りの協力を得られる人間力を鍛え、時代を牽引(けんいん)する人になってほしいと思います」と松尾校長は期待を込めて語る。
12月には、新校舎も完成する。新しい校舎の中で世界を見据えた良質な教育が深化していく。
広尾学園小石川 中学校・高等学校
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