和洋九段女子中学校高等学校
中込 真校長

「先を見て齊(ととの)える」の校訓の通り、「先を見通す知性と、新しく出合う物事に対応し得る能力を持ち、それを奥に秘め、あわてず静かに待つ」女性を育成する和洋九段女子中学校高等学校。

 穏やかながらも、主体性を持って自ら興味のあることにチャレンジする生徒が多く、学校は活気に満ちている。2023年は、高1の3人が第1回全国高校生政策甲子園(主催:日本青年会議所)の設定テーマ部門に挑戦。若者の選挙への関心を高めようと、選挙活動や投票が簡単にできるインターネット上のゲームを開発し、優秀チーム賞(全国2位)に選ばれた。その他にも、SDGsに関する活動が評価されて学校外のコンテストで受賞したり、一輪車や空手、水泳といったスポーツ、写真や書道などの芸術分野で活躍したりと、個性豊かな生徒たちがさまざまな分野で力を発揮している。「賞を取ることが全てではありませんが、勉強だけではない評価軸が生まれ、自信が付いたり、生徒同士の刺激になったりしています」と、中込真校長はほほ笑む。

 生徒たちが学校外のコンテストや大会に挑戦できる素地は、日々のPBL型授業で養われている。同校では総合学習などの一部ではなく、全ての教科の授業でPBLを導入。授業では最初に、扱うテーマについて基礎知識を確認し、教員がトリガークエスチョンを提示する。そして生徒が個人で考えた意見をグループで討論し、仲間へのプレゼンテーションを行っている。

 さらに、高1では長野県内の農村で現地の住民や大学教員にも話を聞きながら「人口減少に悩む地域を元気にするにはどうすれば良いか」という問いの解決策を探る「プロジェクト型PBL」にも取り組んでいる。

「プレゼン発表をし、クラスの仲間に受け止められることに慣れているので、学校外でも自分の考えを発信したり、表現したりする度胸が身に付いているのでしょう。学校としてはPBL型授業などを通じて、生徒が第一歩を踏み出しやすい環境づくりをできればと思っています」と中込校長。

ICT活用で学びを深化
DXハイスクールに採択

 24年度には、文部科学省からICTを活用した探究的な学びに力を入れる学校「DXハイスクール※」に採択された。これまでも高1が研修旅行先の限界集落の写真を撮ってメタバース化し中学生に共有するなど、デジタル技術を活用して学びを深めてきたが、今後はさらに、学校外のDXの専門家を招いたプログラムなど、時代に合わせた新たな教育も展開していきたいという。

 中込校長は「これからは『ソフトな理系』の時代だと思います。論理性はしっかりしつつ、内に閉じない。常に社会の課題に対してオープンで、社会を良くしながら自分を実現していく生徒を育てたい」と意気込む。

※DXハイスクール:文部科学省が推進する高等学校DX加速化推進事業

第1回全国高校生政策甲子園で優秀チーム賞に輝いた3人組。選挙活動や投票が簡単にできるゲームは、その独創性を高く評価された
●問い合わせ先
和洋九段女子中学校高等学校
〒102-0073 東京都千代田区九段北1-12-12
TEL:03-3262-4161
URL:https://www.wayokudan.ed.jp/