武蔵野中学高等学校は、生徒の個性や特技を伸ばすことに重きを置き、家族と共に、生徒の成長を温かく見守る。
面倒見の良さには定評があり、少人数制を生かしたきめ細かい指導を実施している。
「中学の教員は全生徒の名前と顔を覚えています。生徒と教員の距離が近いのはもちろん、親御さんとのコミュニケーションも大事にしています。個人面談や保護者会、授業参観などが年に数回あり、学校行事にも積極的にご参加いただいています」。そう語るのは、西久保栄司校長だ。
文化祭には保護者も参加する。中でも父親たちが作る「おやじの焼きそば」の屋台は例年好評だ。遠足は、保護者だけでなく兄弟姉妹も参加可能な「親子合同親睦会」。タケノコ掘りやピザ作りなどを、生徒とその家族、教員とが一緒に行う。こうした機会に教員と保護者がコミュニケーションを取ることで、両者が同じ目線で生徒を見守り、支援することにつながっていく。
もう一つの特色は英語教育。外国人教員から“英語で英語を学ぶ”LTE(Learning Through English)を導入。中学の英語の授業は週10時間、高校は週8時間、6年間で3000時間以上の「英語のシャワー」を浴びる。LTEの実践の場となるのが、沖縄の米国人ファミリーと共に海外生活を疑似体験する「クロス・カルチュラル・プログラム」だ。また、ニュージーランドでホームステイをしながら、現地の高校生と一緒に授業を受ける「ニュージーランド3カ月留学」では、海外の同世代と触れ合い、彼らの生き方や前向きな姿を学ぶことが、生徒の自立心を養い、進路を考える上で良い刺激になっている。近年は海外の大学を進学先に選ぶ生徒も増えている。
自分の得意を生かせる
「アクティブ入試」
同校はクラブ活動が盛んで、競技水泳部、卓球部、柔道部は強豪として知られ、オリンピック日本代表選手を輩出している。クラブ以外の競技や習い事などで活躍している生徒も多く、遠征や大会などがあれば、活動内容や実績を考慮した上で公欠扱いにする制度もあるという。
中学入試では、小学校時代に力を入れて取り組んだことや、自分が一番得意としていることを作文に書く「アクティブ入試」や潜在能力を評価する「適性検査型入試」を導入し、何事にも積極的にチャレンジする、意欲を持った生徒に広く門戸を開いている。
「本校は学科の勉強だけで生徒を評価することはしません」と西久保校長。
「『他者理解』とは、人の考え方や個性を理解し、相手の立場や状況に即した行動が取れることを意味しています。生徒には行事やクラブ活動、海外研修など、さまざまな機会を通して他者との関わりの大切さを学び、周りの人から応援され、社会で自分らしく活躍できる人に育ってくれたらと願っています」(西久保校長)