横浜創英中学・高等学校
本間朋弘校長

 横浜創英は「考えて行動のできる人」の育成を教育方針とする。生徒の自立・自律は多くの学校が目指すところだが、同校では従来の画一的な教育プログラムでは真の意味で生徒を自立・自律させ、社会で活躍できる人材に育てることは難しいと判断。中学・高校を社会で活躍する準備の場所に変えていくべく、2025年度の本格実施を目指して20年度以降、教育課程の改革を推進してきた。

 新しい教育プログラムは段階的に導入が始まっているが、25年度からは中学入試時には「サイエンスコース」と、「グローバルコース(本科コースを再編)」のどちらかを選択する。また、必修科目は最低限の科目数で、他の科目は自由選択制となる。

 改革に一から携わり、24年度からその旗振り役という大任を引き受けた本間朋弘・新校長はこう明かす。「自由選択の割合が多く、大学に近いスタイルです。狙いは、“依存的な学びからの脱却”。選択の自由がなければ主体性を育むことはできないと考えるからです。学びを生徒主体に委譲するのがわれわれの方針なのです」。

 授業内容は“実学主義”だ。例えば「各界トップランナー授業」では、学者や企業のトップなど業界の第一人者を招き、教科で得られない学びの体得を目指す。他にも「リーダー養成講座」「4C※スキル研修」など個性あふれる授業を提供。「“みんな知り合い”という状況ではなく、自律心やコミュニケーション能力を鍛えるという観点から、学年を超えて選択できる授業も多くしています」(本間校長)。

 また英語などは「学び方」も選択でき、①教員に教わる部屋 ②生徒同士で学び合う部屋 ③個で学ぶ部屋 ④ベルリッツやオンライン英会話、「マイクラ」英語版など企業のプログラムで学ぶ部屋、を用意。「主体的に学ぶ姿勢を持てるようになっていくのが興味深いところです」と本間校長は語る。

入学式も保護者会も
運営するのは生徒

 授業以外も生徒主体だ。文化祭などのイベントはもちろん、入学式や保護者会までも生徒が運営。修学旅行は生徒が話し合って行き先や旅程を決める。学校は“ガードレール”となって見守ることに徹する。「本校では入学直後から自分で考え、他者と対話して物事を決める体験を繰り返します。その体験は主体性を育み、自己肯定感を高め、ひいては社会で活躍するための力につながっていくでしょう。よく“革新的な”といわれますが、社会に出ていく上で本当に必要なことを考えたらこうなっただけなのです」と本間校長。横浜創英が新しい学校教育のロールモデルとなる日も、そう遠くはないだろう。

※4C:「Creativity(創造)」「Communication(対話)」「Collaboration(協力)」「Critical Thinking(分析的思考)」の頭文字を取ったもの

生徒会が運営した入学式は、吹奏楽部の演奏からスタート。事前準備や誘導、司会も生徒が全て行った
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