多様な領域をまたぐ学びが持ち味だ。2023年度から始まったのが、高校生向けの探究プログラム「鳴子(なるこ)スタディツアー」。教室で生徒が普段使う机と椅子が、宮城県大崎市鳴子産の木材で作られていることに注目し、現地に赴いた。
建材、家具材、チップやペレットと、町の森林資源が余すところなく使われていく様子にじかに触れたほか、生産者から、こうしたエネルギー循環型の生産活動を始めることになった経緯や思いを聞いた。
東北大学の附属農場では、生ごみからエネルギーを生む過程を解説してもらい、鳴子の森で見たエネルギー循環を、科学的な視点から学んだ。「普段使っている机を入り口に、社会の『今』につながるテーマを、現場と学問の両方からアプローチできました」と、ツアーを考案した鈴木俊典教諭は振り返る。
生徒の一部は鳴子を再訪し、地域課題をビジネスプランに落とし込み、高校生向けの東北大「地域課題解決アントレプレナーシッププロジェクト」で発表。「ペットを連れた温泉宿」や「高校生向けドローン研修」といったプランが、それぞれ最優秀賞と優秀賞を受賞した。ツアーを通じた生徒の成長について、鈴木教諭は「体験で終わらず、実践者や研究者の話から、やりたいという気持ちを真ん中に据え、文系・理系問わず学ぶ大切さや、実践を科学的に捉える視点を得たのではないかと思います。実際、生徒から出た意見や感想は、自分らしく知覚し、言語化できたものでした」と語る。
12の行動特性にひも付け
日常で意識
同校では、「目指す生徒の姿」を具現化した12のコンピテンシー(行動特性)を定めている。「常識を疑う能力」「自己を尊重すること」「他人に手を差し伸べることができる」といった項目が含まれ、学校でのあらゆる活動に結び付けられている。活動がどのコンピテンシーに関連しているのか、ポスターや学級日誌などを通じ、生徒が普段から意識できるような仕掛けを設けているという。
語学教育も先駆けている。教科内容と英語学習を組み合わせたCLIL(クリル)〈内容言語
「もはや語学が研修の第一目的ではありません。先の見通しが立たない時代、内向きな居心地の良さにこもらず、どれだけ外に出ていけるかが問われています。日本という国を外から捉え直し、自分はどんな軸でこれからを生きていくのかを考えてほしい」と鈴木教諭。「愛と誠」を体現した人間教育が、広い視野と深い思考を育んでいる。
横浜女学院中学校 高等学校
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