「英語の山手」といわれるほど英語教育や国際交流に力を入れている山手学院。中学3年生はオーストラリア、高校2年生は米国やカナダで、全員がホームステイをするプログラムが伝統となっている。その他にも生徒たちが訪問した北米の生徒を日本に迎える「リターン・ビジット」など、多彩な交流の機会を用意し、豊かな国際感覚を磨く。
近年はこうしたプログラムに加え、アジアでのツアーやSDGsを学ぶ講座など、高度な思考力や非認知能力を育てる新たな国際教育「GLP」にも力を入れている。
2024年度はGLPの一環として、大分県にキャンパスを持つ立命館アジア太平洋大学(APU)の留学生と共に、ユネスコの食文化創造都市にも認定されている大分県臼杵(うすき)市の地域課題について考えるプログラムを新たに実施する。臼杵市はみそ、しょうゆ造りに代表される豊かな食文化を持つが、人口流出など日本の地方都市共通の課題も抱えている。
「横浜市内の学校に通う生徒たちにとっては普段、地方都市の社会課題は身近なものではないかもしれません。このプログラムを通して、グローバルな視点はもちろんのこと、地方創生を考えるローカルな視点も養ってほしいですね」と、渡辺大輝教諭は語る。
このプログラムのメインテーマは、社会課題の解決に向けて行動を起こす起業家精神の育成。生徒たちは6泊7日の日程で「なぜ地域経済において、新たな事業(ビジネス)が創出されることが重要なのか」という問いに迫る。そのために、多様性豊かなAPUの留学生らと共に臼杵市内を実際に歩き、臼杵市ならではの地方創生に取り組む起業家らの話を聞く。現場の課題を肌で感じ、自身が実践できることや、課題解決のためのアイデアを考えていく。
個性豊かな他者を尊重
世界水準の視野を育む
他にも24年度は、台湾でのフィールドワークを通じ、自分たちが国際社会にいかに貢献できるかを考えるプログラムや、マレーシアとシンガポールを訪れ、現地の文化について学ぶプログラムも新たに用意した。
これまでGLPに参加した生徒たちは、体験したテーマをさらに深掘りして調べたり、学ぶ意欲が高まったりしたといい、渡辺教諭は「机上の勉強だけでなく、学校外での交流や体験を通じて生徒がチャレンジできる機会を増やしていきたい」と、GLPのさらなる充実を目指す。
山手学院が大切にしているのは「自らに誇りを持つとともに、他者の誇りと他者の自由を尊重する姿勢の上に成り立つ自由」だ。1学年の人数は中学で200人規模、高校で500人規模のため、どんな生徒でも気の合う友達を見つけやすい。
学校内でも学校外でも、生徒たちは他者を理解し、刺激し合いながら視野を広げていく。
山手学院中学校・高等学校
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