2019年、武蔵野大学中学校・高等学校は大規模な学校改革に着手し、同時並行で教育プログラムを刷新。制服もビームスとコラボしたスタイリッシュなデザインに変わった。志望者は漸増、大学合格実績が好調なことも相まって偏差値も上昇している。
中学の学びのテーマはグローバル&サイエンス。目指すところは「世界に貢献できる人材の育成」と「論理的・科学的思考力を養い、社会の課題を解決しようとする人材の育成」だ。中でも特徴的なのは「言語活動」の授業である。論理的思考の“型”を身に付けるためにさまざまなテーマで思考したり、それを言語化したりする訓練を積む。授業中は「相手の考えを否定しない」など幾つかのルールが敷かれ、生徒たちが失敗を恐れず、伸び伸びと発言できるよう工夫されている。人前で話すのが苦手だった生徒が、中3を終える頃には立派にプレゼンをこなす姿を目にするのも同校では、珍しくない。
24年度から就任した原田豊・新校長は、ここ数年の取り組みについて「一定の成果を上げた」と見ており、今後も基本路線は継承する。次なるステージで注力したいと考えているのは「学習に向かう力の育成」だという。
学びの意欲を高める
授業の基本パターンに
「学習に向かう力の根本を成すのは、自分を客観的に認識するメタ認知能力です。これを強化するのに有効なのが、生徒が自分の時間を管理する計画ノート。計画を立て、毎日を客観的に振り返ることでしかメタ認知能力を向上させることはできないと思っています。しかし、この力が身に付けば成績は必ず自然と向上するものです」(原田校長)
それに加えて、授業の流れの見直しも検討中だ。授業の基本パターンといえば、その日やることの説明→展開→まとめ→家で復習→確認テスト→必要であれば補習、というもの。「このセットを着実にこなしていれば、学力が積み重なっていくことは実証済み」(原田校長)だが、時間配分の関係などで、厳密に徹底できない場合もある。
「授業の基本パターンに立ち返ることは実は重要で、生徒の学びへの意欲にもつながってきます。先に挙げたノートでの時間管理も、教員が一人一人のノートに目を通して助言やコメントをしていきます。一方で探究型の授業を推進し、一方で教育の常道に立ち返って汗をかいていこう、そう考えています」(原田校長)
24年は学校法人武蔵野大学の創立100周年に当たり、記念事業として24年秋に「スポーツパーク」、25年には「エムユーセイオン」(図書館機能を備えた学びの施設)が竣工予定。文武両面の活動がより充実することになる。新校舎では自習スペースも多く取っていく予定で、原田校長は「学習に向かう力をより一層伸ばすことにつながる」と意気込む。