現場での体験を重視する
リベラルアーツ教育

 I・Pでは、「なぜ学ぶのか」という根源的な問いに向き合えるよう、体験を通した学びを重視している。実際に現場に足を運び、人と出会い、社会のリアルに触れることで、教室では得られない学びが生まれるからだ。

リベラルアーツ教育の一環で、山形県長井市で農業体験のフィールドワークを実施

「24年度は、山形県長井市で2泊3日のフィールドワークを実施、ユニークな循環型農業を実践している農家の方に話を聞きながら、堆肥作りなどの農業体験を行いました。“日本の田舎”を知らなかった都会育ちの生徒たちは、自然体験や住民の方々との交流を通して、日本の農業や地方が抱える課題に向き合いました。事後学習では、それぞれ個人で探究テーマを設定。土壌改良の実験や、公園活性化プロジェクト、地域活性化のためのSNS活用などに取り組む生徒が出てきました」

 そう話すのは、I・Pを担当する長谷誠教諭。さらに、V・Pの生徒たちも、校内にとどまらず、外部のコンテストに積極的に参加し、I・P、G・Pの生徒たちに負けず、輝かしい成果を収める生徒も少なくない。このような状況で、各プログラムの生徒は、実力を高めながら同時に自己肯定感を育み、学びの目的を自覚して「自走」「挑戦」「自律」できる人間になってきつつある。

高大教育連携先の一つ、東京科学大学(旧東京工業大学)での授業

多角的な
価値ある高大教育連携

 北豊島では、高大連携教育にも力を入れている。順天堂大学、清泉女子大学、東京科学大学の猪原健弘(たけひろ)教授との連携に加え、日本女子大学や麻布大学との連携も始まった。すでにさまざまな形で大学のリソースを活用している。高大連携教育のメリットは、大学の先端技術や研究内容に、中高の在学中から触れることができること。また教員も連携を活用して研修を重ねることで、生徒個々の視野を広げ、進路に対する意識や学習意欲を高めることができる。さらに、実学を大切にする麻布大学の「いのちの博物館」を活用した研修プログラムを中学から導入予定である。

 安達校長は、校長室にとどまらず、日常的に生徒に声を掛け、個々の変化を見逃さないようにしている。「ここ数年、生徒たちに主体性が育まれてきたと強く感じています。女子校だからこそできる“自分たちでやる文化”を、大切に実践しながら、成果が出始めている“3プログラム制”をさらに進化させていきます」。

●問い合わせ先
北豊島中学校・高等学校
〒116-8555 東京都荒川区東尾久6-34-24
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