専門教員が指導に当たる
「1対2体制」を導入
桜丘では、入試スケジュールや偏差値、合格実績などを記した「秘伝の書」と呼ばれる受験の戦略冊子を作成し、生徒・保護者・教員で共有している。この冊子を基に、志望校選定から出願戦略までを緻密に立てるため、無駄のない受験が実現し、結果的に合格率の高さにつながっている。
模試は「受けっ放し」にせず、受験後に自己分析を行い、SS(セルフスタディー)ノートを利用して、家庭学習計画に反映させるサイクルを定着させている。
推薦入試を希望する生徒には、担任に加えて志望分野の専門教員が個別指導に当たる「1対2体制」を導入している。

中野 優教諭
「例えば、英語科を志望する生徒の場合、英語科の教員が推薦対策を担当します。プレゼン資料の作成や論文の添削、集団討論のシミュレーションなど、週1回、放課後の時間を利用してきめ細やかに指導。面接や討論対策では、生徒の緊張やパニックにまで配慮して、実践的な練習を重ねます。全教員が学年を超えて推薦入試指導に関わり、教員自身が入試情報をアップデートして成長できているという利点もあります」と、探究科教科長の中野優教諭は「1対2体制」のメリットを強調する。

進路に関して視野を広げる機会は、「研修旅行」をはじめ、中学の段階から多数用意されている。
例えば、中2の広島研修旅行では、平和学習だけでなく、戦後の復興に関わった人々の話を聞き「社会を立て直す力」に焦点を合わせる。中3の鹿児島研修で行うコース別学習で選択できるカンパチ漁業体験コースでは、現地の漁業者を訪問してカンパチ養殖を体験した。いずれも地域と連携した探究型学習を実施する。

起業家精神教育にも力を入れており、「ビジネスプランニング」の授業では、学校創立100周年記念のノベルティーの制作を題材に、現役の銀行員に向けてプレゼンを行って融資を得るというプロジェクトを実施した。こうした学びの中で、生徒は「学問」と「社会」「学ぶ」と「働く」を結び付ける感覚を養っていくのだ。