
近藤彰郎理事長・校長
八雲学園が男女共学へ移行してから今年で8年目を迎えた。当初は女子校としての伝統の中に男子が加わるという変化に、教員側にも生徒側にも少なからず戸惑いがあった。
「1期生の男の子たちは、まさに“お姉さんたち”に囲まれて育った、いわばかわいがられる存在でした。2期生、3期生と進むうちに、男子生徒も先輩たちの姿を見て学校文化になじみ、今では男子も女子も互いをリスペクトする“自然な共学”になっています」
そう語るのは、共学化を積極的に推進した近藤彰郎理事長・校長だ。

共学化によって、生徒たちの姿勢には変化が見られた。女子校時代には「優しさ」はあっても「積極性」に欠ける場面があった。しかし、率直に意見を言う男子生徒が入ってきたことで、女子生徒も影響を受け、発言や自己表現を臆せずするようになった。
「男子が一歩踏み出す姿を見て、女子も“私も言ってみようかな”と思えるようになったのです。今では、優しさに積極性が加わった新しい生徒像が定着しています。とはいえ、強く主張する子だけが活躍できる場をつくってしまうと、内に秘めた思いや考えを持っている子がつぶれてしまう。大切にしているのは、ほどほどの主張や、他者を尊重する姿勢。このバランス感覚を育てるため、教員は日々の指導に細やかな配慮を重ねています」と近藤理事長。