生徒の可能性を信じて
寄り添う教員たち
八雲学園は伝統的に保護者と学校の距離が近く、共に子どもを育てる意識が強い。卒業時には、「この学校へ入れて良かった」と保護者から感謝されることが多いという。指導方針として、学力だけでなく「人間的な成長」をじっくり見守る姿勢があるからだ。

「ある女子生徒は、コロナ禍による家庭の事情で退学の危機にあったのですが、学校側の支援で通学を継続。彼女は高校に進んでから積極性を増して、生徒会長を務めるまでに成長、志望する青山学院大学に進学しました。またある男子生徒は、中1から吹奏楽部に入部。たった1人の男子部員だったのですが、努力して男子の後輩たちを勧誘、並行して美化委員を務めるなど、充実した学校生活を送り、希望する立教大学に進学しました」と近藤理事長。
また、バスケットボール部でインターハイにも出場したある女子生徒は、部活引退後に“人の役に立ちたい”と医学部を志望。教員たちがプロジェクトを組んで受験をサポートした。現役合格はかなわなかったが、次年度に順天堂大学医学部に合格した。生徒の可能性を信じて寄り添う教員たちの姿勢が、生徒たちの背中を押していくのだ。

八雲学園はスポーツも盛んで、2024年度は高校空手道部の女子チームが“団体形”で、全国選抜大会を2連覇し、東アジア大会・アジア大会でも優勝。さらにイタリアで開催された世界大会でも優勝するという快挙を成し遂げた。その先輩たちの姿に刺激を受け、後輩たちも“次は自分が”という意識で猛練習し、実力を伸ばす。その連鎖が自然に形成されている。
「きめ細かく面倒見の良い教育。これは女子校の伝統が育んできたものです。共学になっても、その文化は消えていません。いうなれば、“共感力”や“優しさ”という女子校の伝統が、男子生徒の中にも受け継がれているのです」と、近藤理事長は話す。「伝統」と「革新」の確かな調和の中で、新しい世代のグローバルリーダーが育っている。