感性と実技の融合
全身で表現する音楽の授業
例えば中3では、卒業式に当たる中学修了式でオリジナルの合唱曲を披露する。「この活動は、自分たちの3年間を振り返ることから始まり、思い出や感情をキーワードとして言葉にし、実行委員会を中心に歌詞を作成します。可能であればメロディーも生徒自身が制作、難しい場合はプロの編曲者に依頼し、“私たちは明るく元気な学年だから、前向きなメロディーがいい”など、生徒のイメージを共有して形にします」。

高校ではiPadの「Garage Band」の中のアプリ「Live Loops」を使い、BGMを個人で制作する課題も実施されている。ある生徒は「寝坊して遅刻しそうになる朝」をテーマに、夢の中の静かな場面から、急に時計を見て焦る音、走りだす足音へと展開していく曲を作った。音素材を組み合わせて音楽を構成するこの課題は、発想力や表現力を育てる格好の機会となっている。

この他、楽器の演奏にも力を入れており、ピアノ、ウクレレ、ハンドベル、リコーダーといったさまざまな実技を経験できる。特にピアノは、高校生を対象に、1人1台使用できる教室で授業を行っている。また芸術鑑賞の機会も多く、2023年度は「アナと雪の女王」のミュージカルを観劇し、24年度はパシフィックフィルハーモニア東京のオーケストラ公演を鑑賞した。

清水教諭は、こうした音楽教育の効果について、「生徒たちは、学力では測れない多くの力を育んでいきます。音楽は感性と実技の融合であり、全身で表現する芸術。課題をこなす中で、五感をフル活用して表現し、最後まで課題をやり抜く力も育ちます」と語る。