「問いを立てる力」で
科学的アプローチサイクルを回す
「サイエンスを単なる自然科学ではなく、人文科学や社会科学を含む幅広い概念として本校では捉えています。科学的思考とは、未知の事象に対してどのようにアプローチすれば理解を深められるかを考える仕組みです。こうした考えの下、中1の全生徒を対象に“サイエンスリテラシー”という授業を設け、体系的な学習を行っています」

辻 敏之教頭 MST部長
そう説明するのは、MST(メディカルサイエンステクノロジー)部長である辻敏之教頭だ。
サイエンスリテラシーの授業では、「問いを立てる」ことの重要性を理解しながら、「仮説→収集→分析→構築→表現」という科学的アプローチサイクルを徹底して身に付けていく。
「科学的思考とは、単なる知識の蓄積ではなく、因果関係を見抜く力を持つこと。入学直後の生徒たちは、サイエンスリテラシーの概念に戸惑いますが、1年間の授業を通じて“問いを立てる”ことの価値を理解し、積極的に仮説を立てるようになり、問題を構造的に整理する能力を高めていきます」(辻教頭)
サイエンスリテラシーの習得は、理系ばかりでなく文系の生徒にも役立つ。問題の本質を見抜く力、情報収集のスキル、論理的な説明能力が向上するからだ。言葉を替えれば、世の中の課題を解決する道具(ツール)を手に入れることになる。

校内にはサイエンスラボとカルチャーラボが各三つあり、いずれも大学の研究室レベルの設備を整えている。25年秋には、新棟「ゼロワン」が竣工予定だ。従来の理科室とは異なり「発想を広げる場」として設計された。