オンライン授業の継続も選択肢に
――新型コロナによって、塾の授業にも変化が起きているようですね。
山本 6月から始めた対面とZoomの“二刀流”の授業も、もう半年を過ぎました。現在でも、平均すると全体の12%の生徒の皆さんがZoom授業を選択されています。
コロナ禍対応が始まってからは、“走りながら考えながら……”という日々でした。試行錯誤をする中で学んだことを都度「マニュアル」に加筆してまとめるようにしていたのですが、それが新たな知見として蓄積されていきました。“二刀流”の際のタブレットの効果的な使用方法や授業の進め方などもその一例です。
――先生方は本当に大変そうですね。
山本 対面組とZoom組を競わせるなど先生方もおもしろい工夫をしてくれて、それが定着してきました。集計してなるほどと思ったのですが、埼玉・神奈川・千葉や東京でも多摩方面では対面の率が高い。ところが、都心に来れば来るほどまだコロナが怖いから、あるいは広域から生徒を集めていることもあって、Zoomの率が高い。もう一つ、低学年になればなるほどZoomの率が高くなる。そういった強い傾向が出ています。
――オンライン授業という新規分野が少し見えてきましたか。
山本 Zoomが便利だから、それですぐ商売が成立するとはいかないと思います。それとどう組み合わせるか。例えば、オンデマンドで映像が見ることができますよといっても、やはり集中力がなくなってしまいます。
一番懸念しているのがZoomを希望する理由が変容してきている点です。コロナで対面授業に出られないことから始まりましたが、「送り迎えしなくて楽だから」とか、「子どもが学校から帰る時間が遅いから」ということが主な理由で、Zoomを選択する方が少しずつ増えてきてしまっているようなんです。
Zoomと対面とでは、授業を受けている生徒の緊張感、集中力に違いがあります。Zoomのみでは、闘争心とか、受験に向けての心構えが育ちにくい面もあります。これが半年、1年と続くと、どうしても成績に差が出ると思います。そこもきちんと検証しなくてはならない点です。