50人クラスは維持しながら共有スペースを拡大
――高校から100人生徒が加わりますから、8つの普通教室は50人クラスとなりますね。いまでもこの規模のホームルームを維持している学校は珍しい。
有山 これを機に、50人よりも少ない人数のクラス編成にしたらどうかという議論はありました。ただ、授業、行事、経営などさまざまな観点で考える必要があり、簡単には結論が出せず、従来と同じ50人学級に対応した教室を用意することになりました。広い教室なら、現在の50人学級にも、将来的に学級定員を減らしても対応可能ですからね。旧校舎と比べると、普通教室は約12平方メートル広くなっています。机もタテ・ヨコ各5センチメートルずつ大きくなっています。生徒は広くなったことを実感しているようです。
――机の上で教科書の他にもパソコンやタブレットのような電子デバイスも同時に使うことも多くなるでしょうから、広さは大切ですよね。
大友 共用部も含め、外光がよく入り、眺めも良くなったことも広く感じる要因だと思います。
有山 高校の旧校舎は、板状のマンションのように廊下に沿って一列に教室が並んでおり、共用部があまりありませんでした。新校舎を計画するに当たっては、生徒の活動の場となる共用部を可能な限り増やしたいと考えました。これまでは勉強部屋しかなかった校舎に、リビングスペースをようやく造った感じです。
――放課後も生徒がいろいろなところにいますね。
有山 生徒が自分の居場所を勝手につくるのが開成の伝統です。共用部では文化祭の準備をしたり、お気に入りの席を見つけて勉強している生徒もいます。いろいろな活動や勉強で頑張っている姿がお互いによく見えるようになり、いままで以上に刺激を与え合うようになったと思います。
大友 各フロアに設けられた北広場には壁がありますが、2期工事でB棟が完成したら、この壁を打ち抜いてB棟に、さらにその先の第2グラウンドにつながるようになります。仮校舎を建てずに工事を進めているので、スペース的にもギリギリの状態です。本来は理科実験室になる6階には図書室が仮住まいしていますし、収まりきらない図書室の机は共有スペースの北広場などに置かれています。本当の使い勝手の良さを発揮するのはこれからだと思います。
――このA棟のところには体育館がありましたよね。
有山 50年前の100周年記念事業で建てられた旧体育館は今回解体されました。新しい大体育館は、床面積が2割ほど増えており、正規のサイズのバスケットボールのコートを2面取ることができます。