すべての校舎がバリアフリーでつながる
――南側の共有スペースからは都心方向がよく見えますね。こういう見晴らしの良さは新校舎ならではです。
有山 ここから見る景色は、開成が世界に向かって開かれていることを象徴していると私は思っています。
大友 駅から見えるのが建物のこの部分です。デザイン的にも3階部分の庇を上下に広がっていくようにすることで、開かれた開成を表現しています。
有山 高校側の新校舎はバリアフリー化が完成しますが、問題は公道を挟んで向かい合う中学校舎との接続です。そのため上空通路を設ける必要がありますが、東京都の審査会でその認可が下りるか、ドキドキしました。
――あれはけっこう大変だと聞きますよね。
有山 バリアフリー化とともに、避難経路としての必要性などを強調して認可をいただけました。
――共通利用できる予備教室を増やした点は先ほど伺いましたが、理科の教室はいかがですか。
有山 物理と化学が各2部屋、生物と地学は1部屋ずつの6つの実験室が、現在は図書室と高校の職員室が仮に入っているA棟6階と、隣に建てられるB棟のやはり6階に設けられます。ワンフロアに6つの実験室が集まることになり、理科フロアのようになります。仮設教員室の天井に人がぶら下がっても大丈夫なフックがついていますが、これは物理の実験用のものです。仮設図書館の書架の上に天井から何本も突き出している棒は、化学の実験台の上に換気用のドラフトをつけるためのものです。
――B・C棟ができるのは2023年夏ということですが、それまでは現状のような状態が続くことになりますね。
有山 そうですね。食堂も2期工事中の2年間はなくなるので、弁当をネットで注文して届けてもらうシステムを導入しました。中学と高校の行き来も遠回りをする感じになってしまっています。生徒にはしばらく不便を掛けることになります。
――すべて完成後の姿がいまから楽しみです。
大友 この学校は運の良い人が集まっている場所だと感じています。そのせいか、疲れたときに学校に来ると元気になる。開成自体がパワースポットみたいなものです。新しい校舎もそういう場所になってくれればと思っています。