ともに学び合うための仕掛け
――ところで、エントランスを入ってすぐ右側に図書館がありますね。
上野 メディアセンターと呼んでいます。中等部だけで3万1000冊の蔵書がありますが、そのうちの6000冊ほどご紹介したメディアスペース(MS)に分散して置いてあります。校舎内での使用を前提にiPadやマイクロソフトのタブレット端末も貸し出しています。
また、入り口から奥に進むほど静かに利用するという約束にしています。館内の階段を登った2階のスペースに隣接して、ICT教室とミーティングルームが設けられています。こちらは3クラスが収容可能で、プログラミング学習なども行っています。その場でチーム分けできるよう、四つの色の椅子が置いてあります。
――教科センター型でホームルームと併用することになると、机の中に自分の荷物を置いておくわけにはいかないですね。
上野 そこで、教室の隣にホーム・ベース(HB)と呼ばれるロッカーの並ぶスペースを設け、そこに自分の荷物を置き、教科ごとに教室を移動する仕組みにしてあります。実は、HBの真ん中には長机とベンチも置かれ、生徒たちが食事をしたりくつろいだりしていましたが、密にならないよう現状では撤去されています。
――教室の中には廊下側も開放しているところもありました。通気を良くするという意味もあるのでしょうが、活気が伝わってきますね。
上野 教室を開放的にする一方で、先ほどご紹介したMS以外にも、各フロアに学年ごとに自由に使える学年ラウンジを設けています。こちらも残念なことに、現在は使用を制限せざるを得なくなっています。
学年ラウンジには、放課後、青山学院大学の教員志望の学生がボランティアでやってきて、チューターとして生徒の勉強を見てくれているのですが、現在は広い1階のカフェテリアで対応しています。いまはちょうど2学期の中間試験前で、とてもにぎわっています。
――先に拝見した開成学園もそうでしたが、普通教室以外に、選択授業に対応した小規模な共用教室や生徒が交流し、自習できるようなスペースを校舎内に設ける動きが、最近新しく造られた校舎では目に付きますね。