(1)ホームルームと教科の併用教室は廊下側も開放できる (2)生徒はホーム・ベース(HB)と呼ばれるロッカーの並ぶスペースに自分の荷物を置き、教科ごとに教室を移動することで、ホームルームの机には私物を置かない。コロナ禍で教室間移動を抑制していることもあり、現在のところ以前のようなスタイルでの授業が続いている 
拡大画像表示

ともに学び合うための仕掛け

――ところで、エントランスを入ってすぐ右側に図書館がありますね。

上野 メディアセンターと呼んでいます。中等部だけで3万1000冊の蔵書がありますが、そのうちの6000冊ほどご紹介したメディアスペース(MS)に分散して置いてあります。校舎内での使用を前提にiPadやマイクロソフトのタブレット端末も貸し出しています。

 また、入り口から奥に進むほど静かに利用するという約束にしています。館内の階段を登った2階のスペースに隣接して、ICT教室とミーティングルームが設けられています。こちらは3クラスが収容可能で、プログラミング学習なども行っています。その場でチーム分けできるよう、四つの色の椅子が置いてあります。

――教科センター型でホームルームと併用することになると、机の中に自分の荷物を置いておくわけにはいかないですね。

上野 そこで、教室の隣にホーム・ベース(HB)と呼ばれるロッカーの並ぶスペースを設け、そこに自分の荷物を置き、教科ごとに教室を移動する仕組みにしてあります。実は、HBの真ん中には長机とベンチも置かれ、生徒たちが食事をしたりくつろいだりしていましたが、密にならないよう現状では撤去されています。

――教室の中には廊下側も開放しているところもありました。通気を良くするという意味もあるのでしょうが、活気が伝わってきますね。

上野 教室を開放的にする一方で、先ほどご紹介したMS以外にも、各フロアに学年ごとに自由に使える学年ラウンジを設けています。こちらも残念なことに、現在は使用を制限せざるを得なくなっています。

 学年ラウンジには、放課後、青山学院大学の教員志望の学生がボランティアでやってきて、チューターとして生徒の勉強を見てくれているのですが、現在は広い1階のカフェテリアで対応しています。いまはちょうど2学期の中間試験前で、とてもにぎわっています。

――先に拝見した開成学園もそうでしたが、普通教室以外に、選択授業に対応した小規模な共用教室や生徒が交流し、自習できるようなスペースを校舎内に設ける動きが、最近新しく造られた校舎では目に付きますね。

(1)現在はコロナ禍で閉鎖されているが、学年ごとに自由に使える学年ラウンジも各フロアに設けられている (2)放課後には教員志望の青山学院大生がチューターとして生徒の勉強をみにやってくる。現在は1階のカフェテリアで実施中
拡大画像表示