生徒が変わるためのPBL教育
――どのような点が帰国生入試では保護者に評価されたと思いますか。
川上 一条校ではほとんど事例のない、ケンブリッジインターナショナル(ケンブリッジ大学国際教育機構)の国際教育プログラムを使えるようになったことも評価された点だと思います。
インターナショナルクラスのアドヴァンストグループ(AG)では、中学卒業時にCEFR(外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)のC1レベル(英検1級)以上を、高校卒業時にはC2レベル(ケンブリッジ英語検定やIELTSの8.5以上)を目指します。
――イギリスの大学に入学可能なAレベルですね。ということは海外大学への直接進学も視野に入れているわけですね。
川上 はい。インターナショナルクラスのスタンダードグループ(SG)では高校卒業時にC1レベルが目標です。こちらも留学の要件を満たすレベルです。
インターナショナルクラスでは、本科より2時間多い週10時間の英語の授業があるほか、数学・理科・社会の11時間も、資格を持ったネーティブ教員によるオールイングリッシュの授業ですから、週39時間の授業の半分以上を英語で受けることになります。ネイティブ教員も4月以降、6~7人体制にしていきます。
――本科コースはどうなるのでしょう。
川上 学校全体が課題解決型のPBL教育に切り替わります。すべての教科が対象となりますから、教員も研修に追われています。
――先生方も大変ですね。川上先生は長く他の女子一貫校で入試広報担当を務めておられましたが、いつから本校に。
川上 2021年の4月からです。19年間勤めた和洋九段女子の時代に、海外で駐在員の保護者の方から、これからの教育に関していろいろご要望をいただきました。世界の変化を社会の第一線で見つめる保護者の方と考える「これから必要とされる教育」は、実にワクワクするものです。サレジアン国際学園ならば、それらの教育が実現できると確信し、仲間に入れていただきました。
――外から入ってみての印象はいかがでしょう。
川上 生徒も先生も大変真面目です。そして、優しい。相手を尊重し過ぎて、自分の意見の表出は少し苦手かもしれません。本当に大事に育てられてきた箱入り娘が多いのだなと思いました。ただし、これからは目の前の人を最大限に尊重しながらも、伝えるべきことを正確に伝える力は不可欠になります。
――インターナショナルクラスに入る生徒は多様な背景を持っているでしょうから、だいぶ在校生とは感じが違うでしょうね。
川上 小学校には男女ほぼ同数で1学年96人の児童がいます。そのうちの女子が内部進学する割合が高く、外からは中学でも高校でも10~20人程度という状況でした。
今回、インターナショナルクラスを新設することで、学校全体のグローバル化を進める鍵にしたいと考えています。21世紀に活躍できる世界市民の育成が新しい学校の掲げる教育目標です。それを支える5つの柱を立てていますが、生徒が自ら考え、自分の意見を言えるようになることが欠かせません。