設立母体がローマに本部を置く女子修道会だけに、聖母マリアの姿がそこかしこに 1:職員室の周りにもステンドグラス 2:入り口で生徒を迎える聖母子像 3:サレジアン・シスターズの世界的な広がりが学園の背景に
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修道会の国際的なネットワークも

川上  本科の生徒は中2から高2まで週3時間、いくつかのゼミから選択してもらい、探究的な学びをしてもらいます。

 また、通常の授業もPBL型になります。グループの結論を決めるときには、最も説得力のある人の意見を選んでプレゼンを進めてもらうようにします。プレゼンターの選出過程も重要で、なぜその人なのか、論理的に考えてほしい。持ち回りや忖度することは禁止です(笑)。

――そのためのPBL教育ですね。サレジアンとしてのつながりはどう考えていますか。

川上 国際的なネットワークをこれからも活用していきたいと考えています。

 阪神・淡路大震災の年、マニラに滞在中のローマ教皇に会うため、本校からも当時の生徒がフィリピンに向かいましたが、そこで目にしたストリートチルドレンに衝撃を受けて帰ってきたそうです。現地の子どもたちのために何かをしたいと、それからいまに至るまで、現地のサレジアンのネットワークを活用しながら自力で現地に赴いて活動しています。これも国際的な学びの場となります。

――2023年からやはり共学化・校名変更する目黒星美学園も姉妹校ですね。

川上 21世紀に活躍できる世界市民の育成という点では、目指す部分は共通していますが、あちらではボランティア活動に力を入れたりしています。これまで直接の交流は少なかったのですが、今回の学校改革を機に、カリキュラムの研究などで教員間の交流が活発になってきています。

 男子修道会のサレジオ会の学校もあります。サレジオ高等専門学校とは、5つの柱の一つである数学・科学リテラシーの学びで一緒に考えていきたいと思います。まだ具体的には決まっていませんが、世界中の関連校から代表を集めて、まずは東京で「サレジアンサミット」を開催できればと考えています。

――ところで、いまでもシスター(修道女)の先生はいらっしゃいますか。

川上 校長と教員が1人だけです。以前に比べてシスターはだいぶ少なくなっているようです。

 生徒に身に付けてほしい5つの力として、「考え続ける力」「コミュニケーション力」「数学・科学リテラシー」「言語活用力」とともに、アシステンツァ(*)の考え方に基づく「共に喜び、共に生きる」という言葉を尊重し、これからもキリスト教ならではの心の教育を大事にしていきたいと考えています。

(*)イタリア語で「常に寄り添う」を意味する

同じ構内には幼稚園もあり、お迎えの時間には坂道に強い保護者の電動自転車がずらりと並ぶ