生徒の潜在力を引き上げる学び
――海外の留学生とつないであげることができるのは、ちょっと違うところですね。英語のレベルを上げることも大変でしょうね。
日野田 相当大変でした。マサチューセッツ州立大に受かった子は、純ジャパ(日本人)の子で、去年の今頃でTOEFLのスコアが40ちょっとでした。「目指せ100や!」と1日5時間やるぞと言い続けて。
生徒は私のことを「なおさん」と呼びますが、彼が学園長室に来て、「なおさん、僕って本当に……」とこぼすので、「そんなこと言うてる間に手を動かせ、お前」と。
夜中まで勉強して、朝遅れてきたことがありました。「アメリカでは時間に遅れることは許されないから」と、1時間怒り倒したら、次に日からぴしゃっと来るようになって。合格して、実際に進学するともっと大変になります。自分が苦労をした子が、後輩たちの指導もしてくれたりするようになりますから。
――それは、語学だけでもすごく精進しましたね。
日野田 「日本の大学も受けなさい」と言いましたら、「なおさん、日本の大学の受験勉強していないんです」と言うので、上智大とかの過去問を見せたら、「この入試問題、中学生の問題ですか。TOEFLと全然レベルが違うのですけど」と驚いていました。それで、「日本の大学の英語の入試問題の上限はこれくらい。同じように勉強するならこっちの方が良かっただろう」と。
――指導者のレベルが違うのかもしれませんが、それは楽しみですね。
日野田 武蔵野の方でも、1期生から海外進学の実績を出しましたので、あとの2期生、3期生は軌道に乗ると思います。
――コロナ禍で、国際的な学校は海外に行けないこともあって苦労していると思います。日野田先生は海外の実情をご存じなのが大きいですね。
日野田 ブラウン大の面接官が友達なので、実は今年もこちらに来てもらい、たまに高校で行うワークショップにも入ってもらっています。そうすると保護者にも分かるじゃないですか。
――先生方の指導の質の保証は、今後どのようにしようとお考えですか。
日野田 とりあえず学校内でお互いの授業を見合うことが一番だと思っています。コロナ中なので外部に行くのが難しいのですが、何人か来てもらってチェックしてもらい、将来的には公開授業をやりたいなと思っています。
分からないことは聞いています。グローバル系の学校(渋谷教育学園、広尾学園、三田国際学園、洗足学園、聖光学院など)とは、それぞれつながりが深く、情報交換をしています。
森上先生の後ろにある肖像画は、創立者の島地黙雷師です。国際畑の僧侶でした。グローバル人材の育成という思いを実現していくのがわれわれの使命やと思っています。