「大学入試問題出典図書」が展示されるなど、受験に向けたサポート体制がうかがえるメディアセンター(図書館)

文系でも国公立大志望者が増加

――東京都市大学(旧・武蔵工業大学)という工学系に強い大学の付属校ですから、国公立大で目標を設定すると、どうしても理系志望が多くなるのではありませんか。

草間 武蔵工業大学付属の時代には、高校から入ってくる生徒は圧倒的に理系志望で、その多くは系列の大学に進んでいました。中学からの生徒も含め、3割は系列大への進学でした。

 いまでも工学部系に進む生徒が多いのですが、それでも十数人が医学部に進学するようになってきました。医学部の志望者は年々増えてきていますね。

 最近は、文系も増えてきました。理:文の比率を見ると、高校募集をしていた頃は8:2から7:3だったものが、いまは6:4になり、文系が多い学年の時には5:5のこともあります。文理のバランスが、世の中の割合に近くなってきたのかなと思います。

 一方で、生徒の理数の力もついてきているので、文系の生徒でも、最後まで国公立大を狙う例が多くなっていますね。昔は私立大文系が1クラス半か2クラスあったものが、いまは私立大の文系と理系が1クラスずつとなり、残り4クラスは国公立大狙いとなっています。文系だから早慶主体というわけではなくなってきています。

――国公立を狙う生徒が多くなってきたのは、やはり現在の校名に変えてからのことなのでしょうか。東京都市大学になってイメージは変わりましたものね。

草間 それもありますが、全体的に学力が上がってきたことが背景にはあると思います。

――振り返ると、ずいぶんスムーズに現在のような進学校の体制に変わっていったようにも思えますが。

草間 どうでしょう(笑)。校名変更(2009年)だけではなく、新校舎(2006年)、中高一貫体制の開始(2007年)、類制の導入(2013年)、帰国生入試の実施(2014年)と、順を追って取り組んできました。

――男子の場合、大学入試に向けてエンジンがかかるのは高2くらいからとよく言われますが、女子に比べてやはり遅いですよね。生徒の受験への動機付けになるような学校行事はありますでしょうか。

草間 中高一貫体制に踏み切った時、一番心配したのが、中3から高1にかけた中期の中だるみでした。そこでいくら勉強と言っても、なかなか勉強だけには目が行かないだろうから、将来のことをしっかり考えようと。同窓会の協力による中3でのキャリア・スタディ、高1での中期修了論文は、もう10年以上続いており、定着しています。ここである程度目標が明確になることにより、高2から高3で頑張ることができると思います。

校門から広いアプローチの先にある落ち着いた色彩の校舎。2月1日午後入試の時、ここでたくさんの保護者が待機している