篠塚弘康(しのづか・ひろやす)
東京都市大学付属中学校・高等学校校長

1961年横浜生まれ。横浜市立大学文理学部卒業後、神奈川県立高校の数学科教員に。母校である希望ケ丘高校の教頭、保土ケ谷高校校長などを務め、県教育委員会の教職員人事課で県立学校人事担当の課長職に。2019年、県立横浜翠嵐高校校長に就任、定年退職後の22年4月から現職。

 

学力向上のための試み

――クラス分けの成績評価は絶対評価ですか。

草間 基本的に、その1年間の全教科の10段階の絶対評価での学年成績の平均値に基づき、クラス分けを行います。現状では、受験の5教科と実技系の4教科を分けていません。その結果、実技系を頑張ってII類のクラスに進んだものの、授業についていくのにちょっと苦労しているという生徒もいますが、II類では実技系の教科や生活面も頑張る生徒を求めています。

――受験で数学は大事だと思いますが、何か特別のカリキュラムはつくっていますか。

草間 前倒し学習を行っており、教科書は数研出版の体系数学を使用して、あとはオリジナルのプリントで補っています。中2までに中学のカリキュラムを終え、中3から数I・数Aに入りますが、中高の内容を入れ替えて、無駄がないようにしています。

 これは他校でもやっているのかもしれませんが、中学の場合、週6時間ある数学の時間を代数と幾何で先生も分けて4時間と2時間ずつを充てています。中学生では、放課後の補習として、数学のジュニアオリンピックをテーマにやっていましたが、長期休暇中の特別講習で集中的に取り組むようにしています。

――ところでこの2年間、コロナ禍で生徒のストレスは相当あったと思います。それにはどのように対処していったのでしょうか。

草間 2020年の3~5月は一斉休校して、面談やホームルームなどにはZoomを使い、授業は動画を配信しました。いつでも見られる、繰り返し見られる、止めて見られるということで、生徒からの評判はけっこう良かったようです。20年4月・5月の2カ月間で、600本以上の授業動画を先生方が作成しています。

 6月から分散登校が始まりましたが、基本的に登校させて、対面授業を行いました。遅れ気味の科目の中には、先生がYouTuberになって、自分の動画を上げて対応した例もありました。これはプラスの面です。濃厚接触などで授業に来られなくなった生徒には、Zoomを利用して、授業の同時配信も行いました。これからも授業を大切にしたいと思っています。

――生徒のやる気がちょっと心配ですが、先生の動機付けに動画はいいものだと思います。以前、鴎友学園女子が進学校に変わる時、予備校の授業を見て学ぶことをしていましたが、こちらではいかがでしたか。

草間 それはいまでもやっています。駿台が多いのですが、予算を学校で組んで授業力向上に役立てています。以前は夏、冬、春の長期休暇の間だけでしたが、コロナ禍で動画になったことで多くの教員が参加しやすくなりましたし、繰り返し見ることもできるようになりました。

――そういう先生方の努力があると、意欲のある生徒にはありがたいでしょうね。

草間 そう思います。生徒が教員を頼ってくれています。3月10日に東大の合格発表がありましたが、合格者全員がすぐに学校に集まってくれました。担任と一緒に写真撮影したりしていて、見ていてほほ笑ましいなと思いました。

――この4月から、篠塚弘康先生が校長に着任されました。前任の神奈川県立横浜翠嵐高校は、東大合格者数が22年には52人に増えています。次回はそのあたりのお話からまず伺いたいと思います。

きれいなディスプレーが並ぶ明るい理科教室
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