男子校とはいえ、将来に備えてか、家庭科の調理実習への取り組みも熱心

草間雅行(くさま・まさゆき)
東京都市大学付属中学校・高等学校副校長兼教頭

1963年東京都生まれ。東京理科大学 理学部卒業後、埼玉県公立校教員を経て、89年から現任校の理科(化学)教員として勤務し、2010年教頭、21年4月から副校長も兼務。

 

1日午前入試参入の背景にあるもの

――2月1日午前入試への参入は、英断だと思います。そこに踏み切るには、東大合格者数などで、ある程度の実績が必要でしたでしょうね。

草間 21年に過去最高の大学合格実績を出すことができ、22年は東大合格者が初めて2ケタとなりました。塾から、「少しずつ第1希望の子が増えていますよ」と言っていただけたこともあります。都内のある大手塾の教室では、夏休みの講習で都市大対策講座を作ったとも言われました。

[聞き手] 森上展安(もりがみ・のぶやす) 森上教育研究所代表。1953年岡山生まれ。早稲田大学法学部卒。学習塾「ぶQ」の塾長を経て、1988年森上教育研究所を設立。40年にわたり中学受験を見つめてきた第一人者。父母向けセミナー「わが子が伸びる親の『技』研究会」を主宰している。

――1日午前の募集枠には、どのくらいの人数を割り振っていきますか。

草間 240人のうちの50人(II類10人、I類40人)です。基本的には、第1希望の受験生なので、I類を多めにしています。50人でスタートしますが、徐々に増やしていきたいと考えています。

――1日午後は、I類の募集枠を20人減らすわけですね。

草間 1日午後の場合、入学率は例年2割くらいですので、いままでも120人の募集枠に対して、だいたい600人くらいの合格者を出していました。23年の募集枠は100人で、受験生も減る可能性がありますけれども、やはり500人くらいは合格者を出すのかなというイメージはあります。模試の動向などを参考にして、11月の説明会の時には目安が伝えられると思います。

――帰国生が多いというお話でしたが、学年あたりどのくらいいますか。

草間 例年は40~50人います。今年度の新入生は1クラス多い274人で帰国生も60人ほどになりました。学年全体のだいたい2割くらいです。

 帰国生入試は海外で生活していた生徒が対象で、毎年250~280人に受験していただいています。これに対してグローバル入試は、英語を使った入試で、国内のインターナショナルスクールとか、英語を自分で勉強した、あるいは保護者の両方もしくは片方が外国人で英語の得意な方などが、毎年30~40人ほど受験されます。

――前回、東大合格者数の増大に帰国生が寄与した面も大きいといったお話がありました。

草間 本校では、帰国生を分けてクラスをつくっていません。中には英語が母語並みの生徒もいます。どのクラスにも海外生活を経験した、国際性が豊かな生徒がいますので、他の生徒にも良い刺激になっています。そこが、男子校なのに英語が伸びている理由なのかなとも思います。

――海外の大学に進もうという生徒は多いのですか。

草間 コロナの影響もあって、今年は1人だけでした。しかし、海外の大学を考えている生徒の中には、卒業する前に、高校に進むタイミングで海外の学校に進学してしまうことがあります。また、海外進学コンサルタントの方に海外大学に関する説明会を行ってもらっていますが、毎年50~100人の保護者が参加しています。