多彩な能力を生かす卒業生の進路
――豊かな学びをしている生徒の大学進学を考えると、一般選抜よりも総合型選抜の方が向いているのではないかと思いますが、いかがでしょう。
坂井 ディスカッションや発表など、生徒はさまざまな能力を身に付けていますから、それを生かして特別入試といわれる総合型選抜や指定校推薦などに挑戦する生徒は多くいますね。
――国公立大への進学は、卒業生の2~3割程度ですか。
坂井 現役生ですと、それくらいいますね。
――生徒は早い時期から学問領域を選択しているのでしょうか。
坂井 この学校の最大の特徴は、5年生まではほとんど選択させないで学ばせて、6年生になって初めて文系・理系を選択させる点にあります。多少時間はかかりますが、自分がそれまで温めてきた、好きなことをやることができるようにしています。
――早慶上理への、のべ合格率は7割くらいありましたか。
坂井 大学合格実績は右肩上がりで、伸びしろのある学校だなと感じています。
――まさに、豊かな学びの環境づくりにチャレンジをされてきた成果ですね。海外大学への進学についてはいかがですか。
坂井 海外の大学に直接進学する生徒は、卒業生130人くらいのうち、10~15人くらいいます。5・6年生のDP(ディプロマ)クラスの3分の2は海外の大学にDPのスコアを持って進学しようとしています。日本国内の大学でも、DP入試が出てきています。DPクラスができる前から一般コースの生徒も、海外大学に進学していました。
――DPクラスの割合を今後増やすことはあるのでしょうか。
坂井 DPは掘り下げて学びます。教える教員とそれなりの施設が必要で、これ以上DPを広げるのはなかなか難しいです。ただ、4年生までは全員がIBのMYP(ミドルイヤープログラム)で学びますから、全生徒がIBの精神を持っています。
DPクラス以外の一般コースの5・6年生は、学習指導要領に沿った日本流の評価の仕方となりますが、探究的な学びは継続します。
――こうしたIB教育プログラムを進めて行く上で、今後の課題はありますか。
坂井 MYPでは各教科に1人以上の教員が、DPは担当教員の全てが、IBの講習を受けている必要があり、それは満たしています。いまは教員の半分くらいがIBの講習を受けていますが、さらに増やすため、順繰りに講習を受けてもらっています。
IB本部からのプログラム評価を受けると、授業の選択の余地を広げるように指導されています。いまはその可能性を研究しているところです。