着任早々、余儀なく学校改革へ
――昔のデータを見ましたら、立教大への内部進学枠は、1997年35人、2005年45人と、いまよりだいぶ少なかったようですね。
鈴木 私が着任した時には80人で。4月早々、ある学年の主任が顔色を変えて、「生徒がいままでと全然違う」と言うんです。「入学する生徒の質が変わった」と。
以前でしたら、提出物などは100%期限内に集まっていたものが、半分くらいに落ちていた。持ち物をそろえましょう、持ち物には記名しようと言ってもしてこない、と。
――受験生のロイヤリティーが変わった?
鈴木 出願者数も落ちていました。偏差値で人や学校を計りたくありませんが、それも下がっていました。それでも本校でお預かりした生徒さんたちですから、成績で差別するようなことはないよう、こちらもきちんと対応しないといけない。
――それは由々しき事態ですね。
鈴木 働き方改革もあり、教員の負担を増やすわけにはいかないので、当時の理事長に学力補充のための資金提供をお願いしました。外部のプロの力をお借りして、悩んでいる生徒に放課後や夏休みに補講を行いました。みんなよくついてきてくれました。みんな頑張りたいけど、どうすればいいか悩んでいたようです。夏休み明けには、わずかな期間ですが、効果が出たという報告を受けました。
――ずいぶん思い切りましたね。
鈴木 長く「2月1日入試校」というプライドもありましたが、2回目の入試を翌年の募集から2月2日午後に設けました。
――いまではいろいろな学校が導入している午後入試の走りでしたね。
鈴木 最初は大きな不安や反論もありました。しかし、外からどう見られているのか、内部からは分からない部分があります。
――それは本当に不思議なくらいに分からないものです。
鈴木 そこで、中学受験の状況などをお話いただく講習会を設けました。学校の中だけで判断していたのではダメだと気付かされる機会になりました。ICTの進化によって世の中が変わりました。昔は合格発表というと、自分の番号はあるかなとドキドキしながら掲示板を見に来たものですが、いまは受験番号を入力するとポンっと出てくる。夜中に出願するなど考えられないことでしたから。
――取り組みの効果は表れましたか。
鈴木 昔のことは知らないので、私は実感しなかったのですが、売店や事務所の人たちから「生徒の様子が変わった。以前の香蘭です」と言われました。長年生徒を送り込んでくれた地元の塾の先生方からも「全然違うよ。かつての香蘭だよ」と言われました。
偏差値も上がりました。そこで大切なことは、受け入れる側の教員も進化しなければなりません。先生方も研修し、各自工夫を重ね頑張っています。
――だいぶ学力上位層も受けるようになったのでしょうね。