「探究は自分起点での学び。オーナーシップが自分にあるので、自然とモチベーションも高くなるんですね」
探究的な学びが学校の授業に導入されて3年経った。取り組みが充実するにつれて、各教科でも、生徒が自分で問いを見つけて解決していくなど、生徒主体で進める授業を取り入れる学校が増えてきているという。
大学入試にも変化が!もはや知識だけでは太刀打ちできない…
大学入試にも変化が現れてきている。大学入試共通テストでは2025年に科目再編が行われ、例えば「地理歴史」は「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」など、科目に「探究」が付くものが加わった。
「年々、考える力を問う傾向が強くなっています。問題を見ても、資料を読み解きながら問いを解いていくなど、知識だけでは対応できない問題が増えています。探究で培った“なぜ?”を深掘りする力や論理的な構成力が問題を解く際に生きると思います」
次の図表2にあるように、各大学の入試は選抜方法により大きく3つに分類されるが、一般入試の問題にも、この傾向が強まっている。
![[図表2]大学入試](https://educate.ismcdn.jp/educate/mwimgs/1/6/550wm/img_16b6fca7aa5d85bbf8ad8de6cf6582a11001679.jpg)
総合型選抜(旧AO入試)では「なぜその大学・学部で学びたいか」をはっきりさせておくことが重要。学ぶ意欲が合否を分ける。前述のように、探究学習で自分は何に興味があるかを深掘りすることは、将来の進路選択において重要な意味を持つ。
さかい・じゅんぺい●立命館宇治中学校・高等学校数学科教諭。文部科学省国立教育政策研究所「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料 高等学校特別活動」評価基準、評価方法等の工夫改善に関する調査研究協力者。編著書に『高等学校 探究が進む学校の作り方』『「探究」の現在地とこれから』(いずれも明治図書)など。
「探究学習で、マイクロプラスチックに興味を持ち、テーマに設定した生徒がいました。彼女はリサーチしていく中で、マイクロプラスチックが含まれている化粧品があることを問題視。含まれていない安全な化粧品を作ることを考えました。そして、複数の企業とのやり取りを経て、地元企業とコラボしてオーガニックのマスクスプレーを開発することになり、これを文化祭で販売したんです」
このとき損益を考えて価格も自分で設定した経験から、マーケティングや経営への興味が湧き、大学は経営学部へ進学した。高校時代の学びは、将来の生き方を左右する。そう考えると、探究学習の意味がより深く理解できるのではないだろうか。
