何事も、準備が大切であることは、誰もが承知している。そのわりには、準備を怠る人が多い。プレゼンテーションの上手な人は、例外なく、充分に準備をしている。逆に、下手な人ほど、準備に手抜きをする。

 あるプロゴルファーの言葉である。

「練習を必要とする者ほど、練習をしない」

 プレゼンテーションの準備にも同じことがいえる。

準備の大切さへの自覚が足りないと
必ず失敗する

 なぜ、準備が大事とわかっていながら、それを怠るのか。

 第1に、「準備の仕方を知らない」からである。

 準備になかなか着手できないでいる人は、何をどう準備したらよいのかわからないため、戸惑っているうちに、時間ばかりたってしまうのだ。多忙な業務を抱えながらも、当日までにキチンと準備する人は、効率的な準備の仕方を知っているのである。

 第2は、「なんとかなる」とタカをくくっている。つまり、準備の大切さが本当にわかっていないのである。

「どうも話しベタ」

 という人は、話しベタに逃げ込んで、準備の大切さ・効用への自覚が足りないのだ。

 小山さんは、十年間技術畑を歩いてきた。担当の仕事には誰にも負けない自信があったが、喋るのが苦手で、話すことより、いかに話さないですませるかと、考えてしまうタイプだった。