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岸博幸のクリエイティブ国富論

「事業再仕分け」は政治責任を放棄した天下の愚策

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第114回】 2010年11月12日
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 11月15日から事業仕分け第3弾後半戦が始まります。これまでの事業仕分けの判定に従わず、色々な手口で予算要求を続けている事業の「再仕分け」ですが、民主党政権の政策の中でも最大の愚策と言って過言ではありません。かつ、その問題点は、尖閣問題での中国人船長釈放に至る過程にも同様に当てはまることを見逃してはいけません。

最悪の政治ショー

 事業“再”仕分けの最大の問題点は、“政治の責任放棄”という一言に尽きます。政権は“官僚が仕分けの判定結果をすり抜けるために、巧妙な手法を駆使して予算要求を続けているから、再仕分けを行なう”と説明していますが、何をバカなことを言っているのかと呆れざるを得ません。

 行政刷新会議は法律に基づく組織ではなく、事業仕分け人の判定に法的な強制力はありません。したがって、官僚の側からすれば、仕分けの判定結果は参考意見に過ぎず、仕分けされた各事業の予算をどうするかについては、法的権限と国民に対する責任の双方を有する役所の側で最終的に判断する必要がある、となります。

 それだけだと、“官僚が好き勝手に無駄遣いしている”という民主党お得意の批判の対象になり得ますが、より重要なポイントは、官僚は予算要求を財務省に提出する前には必ずその内容を自分の役所の大臣、副大臣及び政務官(政務三役)に説明している、ということです。政務三役を無視して予算要求の内容を確定して財務省に提出できるはずありません。

 つまり、行政刷新会議が批判している各省庁の“予算要求のすり抜け”は、その役所の政務三役(=民主党の政治家)が了承した内容なのです。したがって、行政刷新会議としてその内容に不満ならば、行政刷新会議と各省庁を代表する政治家の間で議論して、粛々と政治的に決着させればいいだけの話です。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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