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金融市場異論百出

現実は“ゲーム”ほど甘くない
英中央銀行が直面する悩ましさ

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2016年9月8日
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 英ロンドンにある英国の中央銀行、イングランド銀行(BOE)の金融博物館に「金融政策ゲーム」がある。海上を走るヨットが画面に映し出され、その速度が上がるとインフレメーターの数字も上がる。BOEのインフレ目標である2%でヨットが巡航できるように操作するというゲームだ(下写真)。

イングランド銀行の博物館にある「金融政策ゲーム」の画面。金融政策のイメージをつかむのにはいいが、現実世界はゲームのようにうまくいっていない  Photo by Izuru Kato

 ハンドルを回してヨットの帆の面積を増減させスピードを調整する。これは政策金利の上げ下げを象徴している。ヨットが嵐の領域に入ると通常の帆の操作だけでは失速してしまうが、そんな緊急時には赤色のボタンを押す。「量的緩和策オン」のスイッチだ。そうすると追加の帆が現れて、ヨットのスピードはみるみる回復する。

 ただ、やり過ぎは禁物だ。適当なタイミングでもう一つの「量的緩和策オフ」のボタンを押さないと速度オーバーになってしまう。

 子供たちに金融政策のイメージをつかんでもらうには、いいゲームだろう。しかし、現実の金融政策はこのゲームのようにはいっていない。BOEは2012年7月を最後に追加の量的緩和策を実施していない。景気過熱を警戒したからだ。米連邦準備制度理事会(FRB)に続いて、いずれ政策金利の引き上げができるだろうと考えられていたが、英経済の回復スピードに力強さが見られず、結局一度も利上げはできなかった。

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