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みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司

内定の出ない学生は何が間違っているのか
~学生、企業、大学、親がすれ違う悲惨な現状

石渡嶺司 [大学ジャーナリスト]
【第1回】 2010年11月17日
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 皆さん、こんにちは。大学ジャーナリストの石渡嶺司と申します。『就活のバカヤロー』『就活のしきたり』などを刊行しています。

 今回から、「就活」について記事を書かせていただくことになりました。

 現在の就活は、学生、企業、大学、親というそれぞれの立場がそれぞれすれ違っています。どのようにすれ違っているか、11月のある日を覗いてみましょう。

午前10時1分/4年生の言い分
「私の何がいけなかったのでしょうか」

 高瀬みのは、午前中の電話を待っていた。昨日、最終面接を受けた会社からだ。「内定を出す出さないにかかわらず連絡するから」と採用担当者は言ってくれた。その会社は通算すると30社目。エントリーした会社数は50社を越える。

 3年生のときは4年生の4月、悪くても5月には就活を終えられると思っていた。夏休みには海外旅行にでも行って、それから卒業論文を書き、卒業前にはもう1回、海外旅行に行きたい。

 ところが、厳しい就活はそうした甘い夢を打ち砕いてしまう。5月どころか、夏休み中もスーツを着て会社回り。説明会に参加して、選考を受けて、落ちての繰り返し。

 東京の難関大学、椎応大学に在籍。学部も経済学部だから損することはないはず。サークルの幹事もやっていたから、面接で話すネタには事欠かない。なのに連戦連敗。一体、私の何がいけないのだろう?

 そんなことを考えていると電話が鳴った。

 1分後、彼女はか細い声で聞いてみた。

 「私の何がいけなかったのでしょうか?理由を教えてください」

 1分前、内定に至らなかったことを告げた採用担当者は、しばしの沈黙の後に理由を話した。

 「あなたとは一緒に働きたい、そう思ったから最終面接まで来ていただきました。しかし…、弊社や業界事情についてあまりにも不勉強ではなかったでしょうか。内定が出るならどこでもいい、そうした姿勢が明らかでした。もう少し、弊社に関心をもってもらえれば違った結果になったかもしれません。本当に残念です」

 電話が切れた後、彼女は座り込んでしまった。カレンダーに目をやると、今はもう11月。ふと、去年の今ごろを思い出した。就職課に一度相談して嫌な思いをしたことがあった。

 「何、あの職員。偉そうに!こうなったら、内定なんかさっさと取って、就職課のバカ職員に『アドバイスを無視したおかげで内定を取ることができました』とタンカ切ってやる!」

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石渡 嶺司 [大学ジャーナリスト]

1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。日用雑貨の営業の派遣社員、編集プロダクションなどを経て2003年に独立。日本全国350校を超える大学を調査、とくに就職活動をめぐって、学生や大学就職課、教職員団体、あるいは高校生向けに積極的な執筆や講演活動を行う。主な著書に『就活のバカヤロー』『最高学府はバカだらけ』(以上、光文社新書)、『ヤバイ就活!』『就活のバカタレ!』(以上、PHP研究所)などがある。


みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司

「第二次就職氷河期」といわれる現在。学生、企業、大学、親など、取り巻く関係者すべてに悲壮感が漂っている。こうした悲壮感が漂うなか、彼らの実態とはどのようなものなのか。その様子を時系列で追いながら、誰が就活を悲惨にしているのか、“犯人”を探る。

「みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司」

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