毎年のようにスーパー台風が上陸し、ゲリラ豪雨に見舞われ、地震リスクと向き合っている災害列島ニッポン。気候変動をめぐっては専門家の意見が割れている。地球温暖化が進んでいるとの主張が主流だったが、その前提を覆す新説が、天文学者らから相次いで発表されている。その真相やいかに。(週刊ダイヤモンド2015年12月5日号特集「暴れる地球」より)
「南極の氷が増えている」。米航空宇宙局(NASA)が11月に発表した内容に、世界中の気候変動に関わる研究者たちは衝撃を受けた。事実ならば、地球温暖化の議論をリードしてきたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が主張してきた、南極やグリーンランドの氷が解け、海面上昇を引き起こすという前提は、全て覆ることになる。
それだけではない。「南極の氷が解け続け、南太平洋の美しい島々は水没する」といった、誰しも一度は聞いたことがある予測が、全て虚構だったことになってしまう。
NASAは人工衛星から南極氷床の高さを計測。南極半島を含む西南極では従来の研究通り氷床が解けているものの、東部や内陸部では氷が増加し、差し引きした全体の氷床は増えているという結論に達した。1992~2001年に年間1120億トン、02~08年は年間820億トンの氷が増えたという。
7月にも地球温暖化への異説が飛び出した。
英ノーサンブリア大学で天文学と応用数学を専門とするバレンティーナ・ザーコバ教授が、30年ごろまでに温暖化とは正反対のミニ氷河期がやって来るという寒冷化説を発表したのである。
太陽の黒点が減少し、30年ごろに太陽の活動自体が現在と比べ60%低下することで、地球の気温が低下するというのだ。
これに対して、気候変動を専門とする研究者たちは「太陽の活動が地球の気温に影響することはほとんどない」と否定しており、意見は真っ二つに割れている。