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気づけばあなたも一着は持っている?
JAXAが仕掛ける「宇宙ブランド」の思わぬブレイク

大来 俊
2010年11月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
大手スーパーの下着売場に並ぶ「MXP」のパッケージ上部に貼付されたJAXAの“お墨付き”。実はMXPは、チリ鉱山事故で地下に閉じ込められた被災者にも提供された!

 雑貨店などで「NASAのテクノロジー採用」とうたう機能性グッズを一度や二度は見かけたことがあるだろう。それだけで効果が高そうに感じてしまうから、不思議だ。特に日本人は「NASA」の4文字に弱いと見て、多くの企業が販促の殺し文句として、“NASAブランド”をパッケージに表示している。

 一方、日本で宇宙関連の研究・開発を進める宇宙航空研究開発機構(JAXA)も負けてはいない。実は、宇宙ブランド「JAXA COSMODE PROJECT」を2008年から展開している。これは、JAXAと民間企業が共同研究などのコラボレーションを通じて、宇宙の最先端技術を応用した製品やサービスを市場に送り出すというもの。

 それらの製品やサービスには「JAXA COSMODE PROJECT」のロゴマークが付与され、企業は製品パッケージなどにこの“お墨付き”を表示し、「JAXAのテクノロジー採用」をアピールすることができる。

 今まで最もヒットした宇宙ブランドは、ゴールドウインが2010年2月に発売した宇宙下着「MXP」(エムエックスピー)だ。土井隆雄宇宙飛行士や星出彰彦宇宙飛行士らが国際宇宙ステーション(ISS)で着用した下着の技術を採用したもので、従来の下着に比べて加齢臭を82%、汗の臭いを92%をカットできるのが特徴である。

 「ISSでは、持ち込める下着の枚数が限られ、洗濯もできないので、3日に1回しか替えられない。そのため、汚れや臭いを抑える下着が開発され、その技術をメーカーが民生品に応用した」と、プロジェクトを担当するJAXA産業連携センターの肥後尚之主任は説明する。

 主に大手スーパーや百貨店などの下着売場で売られ、当初の通期目標販売枚数30万枚は9月末までの半期でクリアし、通期販売目標を50万枚に上方修正するなど、予想を超える人気ぶりとなっている。

 そのほか、ロケットの打ち上げ時に衛星を熱から守る断熱技術を応用した住宅用高性能断熱材「ガイナ」(日進産業)や、JAXAの人工衛星のデータから窒素や繊維の含有量が最適な茶園を探して栽培された「衛星の恵み・うれしの茶」(JAさが)など、22件に「JAXA COSMODE PROJECT」のロゴマークは付与されている。

 さらに、今年10月末には、東レが国際宇宙ステーションの宇宙船内服開発に使ったナノテクノロジーを応用したスポーツ衣料用消臭素材「ムッシュオン」とユニフォーム用消臭素材「ナノアージュ」を、「JAXA COSMODE PROJECT」ブランドとして展開すると発表した。

 両素材共に、2011年春に商品化されて店頭に並ぶ予定だ。ムッシュオンは、東レと戦略的提携を強化しているユニクロなどから商品化される可能性もある。そうなれば、一気に「JAXA COSMODE PROJECT」ブランドが広まることも期待できる。

 今のところ、宇宙ブランドは「消臭」をキーワードに、衣料品分野で知名度を上げていきそうな気配だ。しかし、宇宙という極限の環境に対応した最先端技術を“地上”で活かせるケースは、まだまだありそうだ。「JAXA COSMODE PROJECT」のロゴマークが、「NASA」同様にメジャーになる日が来ることを、期待したい。

(大来 俊)


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