蓮舫新代表の民進党が目指すべきは「自公分断」だ蓮舫新代表の民進党が政権復帰を目指すなら、何をすべきか Photo:AFLO

 民進党代表選で、蓮舫代表代行が前原誠司外相、玉木雄一郎国対副委員長を大差で破り、新代表に選出された。蓮舫新代表は「私たちが向かうべきは巨大与党だ。批判ではなく提案力をもって戦い、選択してもらえる政党にしたい」と、政権交代を目指して安倍政権と対決する姿勢を鮮明にした。

「軽率」で経験不足な蓮舫新代表の前途は不安
五輪後の女性首相争いまで代表の座にとどまれるか

 しかし、蓮舫新代表の前途は不安と言わざるを得ない。なにより心配なのは、野党第一党の代表・将来の首相候補となるには明らかに準備不足だということが露呈したことだ。

 代表選の間に、蓮舫氏のいわゆる「二重国籍問題」で波紋が広がった。彼女は在日台湾人2世で、17歳の時に日本国籍を選択した。ところが、台湾の国籍法では満20歳にならないと国籍を喪失できない。蓮舫新代表は、20歳になった時にあらためて台湾籍放棄の手続きをするべきだったが、それを怠っていたことが明らかになったのだ。

 国籍の問題は、単純ではない。国籍取得が「出生地主義」の国と「血統主義」の国があり、世界統一の基準がない。2つ以上の国籍を持つ重国籍を認めている国は100ヵ国以上あり、認めていない日本は少数派だ。

 外国籍の人と結婚することで、外国から勝手に国籍を与えられてしまう場合や、夫婦の間に生まれてくる子どもに外国が勝手に国籍を与えてしまう場合がある。その子どもに外国から突然「徴兵」が来ることもある。外国籍の放棄を申請しても、拒否されて放棄できないこともある。

 日本には50万人の重国籍者がいるといわれている。要は、日本では重国籍は違法だが、諸外国との関係で強く規制することが難しいのが現実だ。だから、罰則は設けられていないのだ。

 蓮舫氏が日本国籍を選択したのは未成年時だ。父親が台湾代表部と国籍放棄のやり取りをしたという。そこで台湾籍の放棄ができず、20歳になった時にあらためて手続きするのを忘れていたとしても、単なるミスである。素直に謝罪すればよかったことだ。今回の発覚を契機に、蓮舫氏は再び台湾籍の放棄手続きを取った。本来はこれで終わる話だ。

 だが、蓮舫氏は素直な謝罪をせず、「軽率」で「感情的」な対応を繰り返し、自ら傷を大きくしてしまった。「私は生まれた時から日本人です」と答えたかと思えば、「高校3年の18歳で日本人を選びました」と言ったりするなど、発言が二転三転した。メディアから厳しく突っ込まれると「質問の意味がわからない」などと開き直ったり、「二重国籍というメディアの方が使われるのは少し、私ちょっとびっくりはしています」などと、感情的な返答をしたりしたため、火に油を注ぐ形になり、批判が広がってしまったのだ。