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暴走続く北朝鮮、最悪と最良のシナリオは

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第446回】 2016年9月20日
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国際世論を無視して核実験を繰り返す北朝鮮。事態の悪化を阻止するため、日本はどうすべきか Photo:KCNA

国際世論を無視して
核実験を繰り返す北朝鮮

 9月9日、北朝鮮が5回目の核実験を行った。それに対して、当然のことながら国際社会からの強い非難が出ている。

 北朝鮮が性懲りもなく核開発を進める背景には、金正恩が自身の安全確保を狙っていることに加えて、朝鮮半島の戦略的重要性がある。金正恩にとって、最も恐れていることは、米国が北朝鮮に対して本格的な攻撃を加えることだ。それを阻止するために、自国が核武装することが最も重要と考えているのだろう。

 また、北朝鮮が国際世論を無視して、身勝手なことを続けられる理由は中国の後ろ盾があるからだ。その中国にとって北朝鮮は戦略的にとても重要な国で、勝手なことを続けても最終的に見放すことが難しい。そうした複雑な条件が、北朝鮮の横暴を増幅させている。

 朝鮮戦争の休戦以降、朝鮮半島では38度線を隔てて、北朝鮮と韓国が対峙する状況が続いている。そうした図式を見ると、韓国は米国パワーの最前線であり、北朝鮮は中国そしてロシア勢力の最前線ということになる。

 つまり、北朝鮮が存在しなければ、米国と中国・ロシアの勢力が直接対峙し、常に緊張が走る事態が想定される。それはどの国も避けたいはずだ。北朝鮮の存在は大国の衝突を和らげる、“緩衝地帯”であり、米国も、中国も、ロシアも、その存在を無視できない。

 北朝鮮で独裁政権を敷く金正恩は、自国が大国の戦略上、極めて重要な国であることを十分に理解している。米国も中国もロシアも、北朝鮮に対してうかつには手を出せない。その為、北朝鮮は横暴な行為を繰り返しても、最終的に中国は北朝鮮を見放すことはないと踏んでいる。

主要関係国の我慢も限界を超えつつある
北朝鮮の身勝手さ

 問題は、北朝鮮の身勝手さが、主要関係国の我慢の限界を超えつつあることだ。中国は北朝鮮に対する配慮を示し続けてはいるものの、国連安保理の非難声明に賛同するなど国際世論にも理解を示さざるを得なくなっている。

 そして、米国・中国・ロシアのそれぞれは、朝鮮半島情勢よりも重要度の高い問題に直面し、北朝鮮の扱い方に困り始めている。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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