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野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

日本の情報関連技術の遅れは「企業の閉鎖性」が原因だ

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第2回】 2016年9月22日
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未公開で時価総額10億ドル以上の「ユニコーン企業」は、中国が36社に対し日本はゼロ

 日本が情報関連などの新しい技術において立ち遅れていることを前回述べた。なぜ、日本の対応が遅れるのか?

 企業の面から見ると、GAFA企業に代表される企業活動の新しい動向を受け入れられないこと、企業が閉鎖的でオープンイノベーションに対応できないこと、などが挙げられる。

企業の新しい動向を示す「GAFA」
「企業文化」としては嫌う風潮の日本

 新しい技術を導入できるかどうかは、企業の動向に大きく影響される。

 図表1は、アメリカにおける時価総額トップの10社を示す(「アルファベット」は、グーグルの持株会社)。5位まではすべてIT関係だ。これらの多くは、20年前には存在しなかったか、零細企業だったものだ。

 アメリカ企業のこうした新しい動向を表すのに、「GAFA」という言葉がしばしば使われる。これは、Google、Apple、Facebook、Amazonの略だ(中国のAlibabaを加えて、GAFAAと呼ばれることもある)。

 日本では、GAFAという言葉は、ポジティブな意味で使われることが多い。これらの企業が時代を先取りし、株式市場をリードするという解釈だ。

◆図表1:アメリカの時価総額トップ10社

(注)2016年08月末時点

 しかし、もともとは、こうした企業の独占的地位を批判する言葉だった。

 最初は、フランスで、しばしば違法行為との関係で用いられた。実際、現在でもGAFAのすべてがEUの調査を受けている。最近も、フランスやスペインの当局が、グーグルを脱税や資金洗浄の疑いで捜索していると報道された。

 つまり、ヨーロッパ大陸は、GAFA的な企業を受け入れようとしないのである。それに対し反感を持ち、排斥しようとしている。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

 日本が直面している課題は、実体経済をいかにして改善するかである。それは金融政策によって実現できるものではない。
 金融緩和に依存して長期的に衰退の道を辿っているヨーロッパ大陸諸国と日本。それに対して、新しい情報技術をつぎつぎに開発し、高度なサービス産業に特化して成長しつつあるアメリカとイギリス。両者の差は、イギリスのEU離脱によって、具体的な 形を取りつつある。
 日本はいま、基本的な成長のパタンを大きく変更しなければならない。これは、純粋な研究開発だけの問題ではない。企業の仕組みや社会全体の構造が重要な役割を果たす。

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