激変!エネルギー最新事情
【第12回】 2016年9月28日
著者・コラム紹介
ダイヤモンド・オンライン編集部
印刷向け表示

日本は世界3位の資源国!注目の地熱発電って何だ

ようやく日本も国策で地熱推進
2030年までに3倍を目標に

 地熱発電のメリットは、なんといっても発電の安定性だ。設備稼働率で見ると、太陽光は10%強、風力も2割程度だ。太陽光は夜間は発電できないし、風力発電も無風なら風車は動かないからだ。しかし地下の蒸気は常に使用できるから、地熱発電は71%と、原発よりは若干劣るものの、ほぼ同等と言っていいレベルの安定性を誇っている。

 ちなみに、原発や火力であっても、設備稼働率が100%にはならない。定期点検などで止める必要があるからだ。地熱も同様で、天然蒸気に含まれる不純物、たとえば金属成分やシリカなどが設備に付着するため、定期的にメンテナンスを行う必要がある。

 コスト面ではどうか。「初期投資は大掛かりなので、回収までに時間はかかります。しかし、40年ほどの長期で運用すれば、大型の火力発電所と同等と、国では試算しています」−−独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の高橋由多加・地熱部地熱開発課担当調査役は、こう語る。

 FITのスタートも追い風になり、長らく頭打ちだった地熱発電は現在、バイナリー発電を中心に増えてきた。1~2年ほどで発電所を作る事ができるからだ。

国内最大の大分県・八丁原地熱発電所。国はこうした大型の蒸気発電所を増やしていく方針だ

 一方、国が本腰を入れて増やしたいのは、発電容量の大きい蒸気発電だ。

 JOGMECの西川信康・地熱部部長は「蒸気発電は地下資源の調査から実際の運転開始まで、大規模なものになると10〜15年もかかりますが、日本では国策として、地熱発電を2030年までに現在の3倍に拡大するという方針も出ており、大型の蒸気発電所を増やして行く必要があります」と話す。

 国は、12年度に調査事業に関する助成金制度を創設。JOGMECが実施機関となっている。また、民間企業が開発を手がける際に、開発を行うプロジェクト会社への共同出資や、発電所建設費用を借り入れでまかなう場合の債務保証など、さまざまなサポートメニューも用意している。

 デメリットは、前述したような開発期間の長さ。日本の地熱資源のうち、7~8割が自然公園内にあることが、開発時間を長期化させる。地点によっては、硫化水素成分が一緒に出てくることもある。また、騒音なども含め、周辺の動植物への影響を慎重に見極めなければならず、大規模発電所を建設する際には、環境アセスメントも必須となる。

 一方、大型の蒸気発電所よりもインパクトは小さいものの、バイナリー発電にもメリットはある。「温泉業者が地熱発電所を運営するケースが増えています」(JOGMECの小川久典・地熱部地熱開発課長)。100℃近いお湯が出る温泉では、湯船にお湯を張る前に冷やす必要がある。そんな地域でバイナリー発電所を作れば、発電の工程でお湯の温度が下がる。また、観光スポットとして見学できるようにしたり、余ったお湯を地域に還元する試みもある。

2
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

激変!エネルギー最新事情

原子力発電所の再稼働のメドが立たない今、エネルギーの安定的な確保ができるかは国民生活にとって非常に重要な意味を持つ。国内ではスマートコミュニティや大型蓄電池、太陽光発電に代表される再生可能エネルギー、地熱発電、メタンハイドレートなど、さまざまなエネルギー源の実用化へ検討が進められている。エネルギーに関する最新事情をレポートする。

「激変!エネルギー最新事情」

⇒バックナンバー一覧