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人の行く裏に道あり花の山?
神戸製鋼が温める小型発電機

週刊ダイヤモンド編集部
2012年2月28日
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全国的に名が通る温泉地の旅館経営者や、資産(温泉)の活用を考える地方自治体などから注目される小型発電機

 昨年10月の発売開始以来、正式な受注が1件も決まっていないにもかかわらず、官民を含めて累計で300件以上の問い合わせが殺到する発電機がある。

 神戸製鋼所が独自に開発した「小型発電機」(マイクロバイナリー発電システム)は、主に温泉地の地熱(熱源)や工場の排熱などを利用して発電する。最大発電端出力は70キロワットで、発電システム100キロワット以下の機種では国内初となる高効率・小型化を実現した。

 その仕組みは、循環ポンプで取り入れた温水を使う。温水よりも沸点が低い媒体(代替フロンガス)を加熱して、そこで発生する蒸気の力でタービンを回して発電する。その際に、「熱源を取り入れて戻すサイクル」と「発電・送電が自己完結するサイクル」の二つの熱処理の相互作用により、これまでは捨てるしかなかったエネルギーを回収するという意味で、バイナリー(二元)と名づけられた。最大出力70キロワットのうち、発電機を動かすために使う10キロワットを除き、残りの60キロワットを有効利用できる。

 この発電機は、1956年以来、神戸製鋼が世界でもトップを誇るスクリュータービン技術(空気を圧縮する技術)を応用したもので、設置時に大規模の工事を必要とせず、泉源にも影響を与えないために温泉法の制約を受けない。加えて、過去には電力会社の地熱発電所に納入されるような2億円前後の大型システムは存在したが、神戸製鋼のものは小型で筐体は約2.5メートル立方の据え置き型。初期費用は2500万円で導入できる。しかも、発電の原理は同じなので、太陽熱やバイオマス(廃材)から熱源を取り込むこともできる。

 ところが、こうした特長から、問い合わせが殺到しているというのに、現時点では受注がゼロなのである。それには理由があった。

 現在、電気事業法の保安規制では、専任の担当者を雇用しなければならず、導入を考える旅館経営者にとってはこの縛りがネックとなっていた。同様に、設置場所にも細かい条件が課されていた。

 だが一方で、環境省が予算化した「温泉エネルギー活用加速化事業」に認定されれば、最大で初期費用の50%が補助される。環境省の補助金と一緒には受給できないが、経済産業省が制度設計を進める「固定価格買取制度」で、余剰電力を電力会社に販売して収入を得る道も既定路線として控える。

 さらに、電気事業法の緩和も検討されており、漏れたら危険なアンモニアなどの従来型の活性ガスではなく、漏れない構造体で不活性ガスを使用する神戸製鋼の新方式は、保安規制上の問題から免れる方向にある。規制緩和は今年4月過ぎになると見られるが、同社機械事業部門の角正純・エネルギーグループ長は「ようやく条件が整ってきた。タイミングは悪くない」と力を込める。

 過去数年、独立独歩の神戸製鋼だけが取り組んできたニッチ需要の掘り起こしは、ライバル不在のなかでブレークする可能性が現実味を帯びてきた。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

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