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岸博幸のクリエイティブ国富論

ウィキリークスの暴露行為と信条を賛美してよいのか?

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第117回】 2010年12月3日
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 機密情報を公開するサイトである「ウィキリークス」が米国務省の外交公電を暴露し、大騒ぎになっています。しかしメディアの多くは暴露された公電の中身を面白おかしく報道するだけで、あまり本質的な問題が議論されていないのではないでしょうか。それは、“インターネットの危険性”と“米国のダブルスタンダード”という問題です。

ウィキリークスの行為はテロと同じではないか

 ウィキリークスで公開された米国の外交公電の中身自体がメデイアの関心を集めるのは、ある意味で当然です。米国政府の非難されるべき対応の証拠もありますが、大半は情報収集の結果の報告であり、個人の中傷など下世話なものも含まれているからです。

 ちなみに、私が昔、北朝鮮問題を扱う国際機関に在籍していたときに、米国務省の人間から北朝鮮関連の情報の公電を何度も見せてもらいました。信憑性は低いけど面白い話が書いてあるのですが、最後は「…か?」と終わっており、まるで東京スポーツの記事みたいだなあと感じたことを覚えています。

 それはともかく、今回のウィキリークスの問題を通じて考えるべきもっとも重要な問題は、インターネットの持つ危険性ではないでしょうか。

 ウィキリークスに対して米国政府が怒るのは分かりますが、問題視すべき対象は、情報を外部にリークした内部関係者と、ウィキリークスを含むインターネットそのものの二つに分かれます。前者については、機密情報の漏洩を行なったのですから相応の処罰を受けるべきですが、問題は後者です。

 情報は安全保障に関わりますし、ビジネス、つまりお金にも関わります。それだけ情報の重要性は大きいのです。それなのに、情報の流通経路としてのインターネットは、今やマスメディアと同等かそれ以上の社会的な影響力を持つようになったにもかかわらず、(児童ポルノなど公序良俗に関することを除いて)基本的に規制が存在しない自由な世界のままです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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