せっかく採用してもすぐに辞めてしまう社員が後を絶たない。若手社員にとって「やりがいのない仕事」をすることは「会社は自分を育てる気があるのだろうか」との悩みにつながり、それが離職原因の一つだと調査で明らかになった。「やりがいのない仕事」を減らすにはどうすれば良いのか。その解決策を探る。
せっかく採用したのに、社員がすぐに辞めてしまう理由とは
近年、若手の人材不足は深刻な状況となっている。企業間の人材獲得競争は熾烈化し、採用数が目標に届かない企業はザラ。背に腹は代えられず、採用基準を満たさない人材もかき集めて、何とか人数を確保しようとする企業もあると聞く。
だが、せっかく苦労して採用したのに、すぐに辞めてしまうケースも後を絶たない。なぜ、若手社員は定着しないのだろうか。
「当社が実施した『社会人1~3年目への働き方に関する調査』によると、今の職場が『働きやすい環境ではない』と思っている若手社員の7割以上が、転職を考えていることが分かりました。『働きにくさ』にはさまざまな原因があると考えられますが、若手だからといって、成長に直接結び付かない雑務ばかりを押し付けられることも『辞めたい』気持ちにつながっているようです」
そう語るのは、オフィス向けDXソリューションを開発・運営するRECEPTIONIST(レセプショニスト)の橋本真里子代表取締役CEO(最高経営責任者)だ。
雑務の中でも、注目したいのが「電話の取次」だ。上記の調査では「社内行事の幹事(回答者の31.8%)」に続いて、「電話の取次(同25.8%)」が第2位となった。
SNS世代の若者は、そもそも電話が苦手だといわれるが、外線や受付からかかってきた内線電話に慣れない敬語で応対し、上司や先輩に取り次ぐ仕事は、コミュニケーションスキルが必要な上、「仕事中の集中力が切れる」「相手が指定した社員が席にいないことも多く、どう判断すれば良いか迷う」といった不満も多く聞かれる。
また受付には受付係がいた企業も多かったが、昨今の経費削減に伴い、今は内線電話を設置するだけのケースも増えた。上司は気付かないが、若手社員が「やりたくない」と思う雑務が確実に増えているのだ。
次ページからは、この「IT化が最も遅れている業務の一つである受付業務」のDX導入により改革し、トータル900時間、コストにして100万円以上も節約できた事例も併せて紹介していく。